
公害防止管理者の過去問|令和3年 大規模水質特論 問2 問題と解説
問題2
海洋生態系モデルにおける物質循環の一部を示した下図のうち、最も不適当なものはどれか。

問題2の解答
正解は「3」です。
問題2の解説
この問題は、海の中で、物質(炭素・窒素など)がどのように形を変えながら循環しているかを、図で正しく理解できているかを問うものです。
ポイントは、「どの物質が、どんなしくみで、どの形に変わるのか」を、常識的な生物・化学の流れとして考えられるかどうかです。
解答に至るまでのステップ
ステップ1 まず「登場人物(物質)」の意味を整理する
はじめに、図に出てくる言葉を、とても簡単な言葉に言い換えます。
- 植物プランクトン
→ 光合成をする「海の植物」 - 動物プランクトン
→ 植物プランクトンなどを食べる「小さな動物」 - デトリタス
→ 死がい・フン・食べ残しなどの「ゴミのような有機物」 - 無機体炭素
→ 二酸化炭素などの「生き物ではない炭素」 - 栄養塩
→ 硝酸・リン酸など、植物が育つための栄養 - アンモニア・亜硝酸・硝酸
→ 窒素が形を変えたもの
ここで重要なのは、デトリタスは「生き物の残りかす(有機物)」であるという点です。
ステップ2 ①・②・④・⑤が「自然な流れ」かを確認する
次に、それぞれの図が「実際の海で起きていそうか」を考えます。
- ①植物プランクトン → 動物プランクトン → デトリタス→ 食べる・フンや死がいになる
👉 とても自然です。 - ②デトリタス → 分解 → 栄養塩
👉 微生物が分解して栄養に戻す、自然な流れです。 - ④動物プランクトン → 呼吸 → 無機体炭素 → 大気と交換
👉 呼吸でCO₂を出すので、正しいです。 - ⑤アンモニア → 亜硝酸 → 硝酸
👉 硝化という、教科書通りの窒素循環です。
ここまでは、どれも「そうなるよね」と納得できます。
ステップ3 ③の図を、じっくり考える
問題の③は、次の流れです。
無機体炭素 →(凝集)→ デトリタス →(沈降)→ 海底
ここで、少し立ち止まります。
無機体炭素とは、 二酸化炭素などの「気体・溶けた炭素」です。デトリタスとは、生き物の死がいやフンなどの「有機物のかたまり」です。ここで疑問が出ます。
生き物でもない二酸化炭素が、そのまま集まって、死がいのようなゴミになるでしょうか?
答えは なりません。デトリタスになるためには、必ず途中で植物プランクトンが光合成する、あるいは生き物の体の一部になるという 「生物のステップ」 が必要です。
しかし③では、
- 無機体炭素
- 生き物を通らず
- いきなりデトリタスになる
という流れになっています。
これは、「材料だけが勝手に集まって、生き物のゴミになる」と言っているのと同じで、海洋生態系モデルとして成り立ちません。したがって、③が誤りです。
問題のポイント
この問題で大切なのは、デトリタスは「生物活動の結果」でしか生まれないという一点です。
③は、「凝集」「沈降」という言葉がもっともらしく見えるため、「物理的に集まるならアリでは?」と迷いやすいのですが、凝集して沈むのは 粒子状有機物、無機体炭素は 溶けている形という違いを考えると、決定的におかしいことが分かります。


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