公害防止管理者の過去問|令和6年 ばいじん・粉じん特論 問9  問題と解説

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問題9

バグフィルター用ろ布に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 撚糸には、フィラメント糸とステープル糸がある。
  2. 織布の織り方としては、平織、あや織、繻子(しゅす)織などがある。
  3. ろ布表面加工法の中で、耐食性、撥水・撥油性に効果のある方法はコーティング加工である。
  4. 不織布の空隙率は70~80%である。
  5. 合成繊維ろ材は電気抵抗率が高いので、高電気抵抗ダストの処理には、金属繊維を織り込むか、黒鉛処理をするなどの工夫がなされる。

問題9の解答

正解は「3」です。

問題9の解説

本問は「バグフィルター用ろ布(=集じん用の布)」に関する基礎的な繊維・布の知識と、表面加工(表面に機能を付ける加工)の理解を問う問題です。

結論として、(1)(2)(4)(5)は繊維・ろ布の一般知識として整合しますが、(3)は「撥水・撥油性(=水・油をはじく性質)」の付与方法の説明が不適切で誤りになります。

解答に至るまでのステップ

ステップ1 原理・原則:用語を先に“自分の言葉”で定義します
初学者がつまずきやすい用語を、判断できるレベルまでほどきます。

  • ろ布:粉じんをこし取るための布(織布・不織布など)。
  • フィラメント糸:連続した長い繊維(長繊維)からなる糸。
  • ステープル(短繊維)糸:短い繊維の束に撚り(ねじり)をかけて強度を出した糸。長繊維・短繊維と撚りの関係は学術団体の解説でも整理されています。
  • 撥水・撥油性:水や油が表面に濡れ広がりにくく、はじかれる性質。繊維製品では一般にフッ素系撥水撥油剤などで表面自由エネルギーを下げて付与します。
  • コーティング加工:樹脂などで表面を“被膜化(膜のように覆う)”する加工の総称として使われますが、「撥水・撥油性の代表手段=コーティング」とは限りません(この点が(3)の判断ポイントです)。

ステップ2 選択肢(1)〜(5)を、根拠に基づき1つずつ正誤判定します

1. 撚糸には、フィラメント糸とステープル糸がある。
正しいです。

学術団体の解説では、長繊維(フィラメント)と短繊維(ステープル)の区別、短繊維束に撚りをかけて強度を得ること、用途に応じて撚りを与えることが説明されています。したがって、「糸としてフィラメント糸・ステープル糸があり、撚り(撚糸)は糸の性質づけに関わる」という方向性は妥当です(試験では“糸の代表分類”として押さえる内容です)。

2. 織布の織り方としては、平織、あや織、繻子(しゅす)織などがある。
正しいです。

大学の研究報告(学内紀要)でも、基本的な織物組織として平織・斜文(あや)織・朱子(しゅす)織が扱われています。

3. ろ布表面加工法の中で、耐食性、撥水・撥油性に効果のある方法はコーティング加工である。

誤りです(本問の正解)。

理由を「撥水・撥油性」と「コーティング」の関係から整理します。

  • 繊維の撥水・撥油加工は、一般にフッ素系撥水撥油剤などの薬剤で繊維表面を“ごく少量で被覆”して機能を付与する、という説明が学術論文で示されています。
  • 同じ資料で、撥水撥油剤は「塗料などのコーティング剤」との違い(=繊維の通気性や風合い等を大きく変えない形で表面機能を付与すること)として説明されており、撥水・撥油性を「コーティング加工」と同一視する書き方は不適切です。

また、(3)には「耐食性」まで含めて“コーティング加工が有効”と断定していますが、ろ布の耐薬品性・耐食性(酸・アルカリなどに対する強さ)は、まず、ろ材(繊維材質)選定が支配的であり、表面加工を一つ挙げて断定する形は、試験の定番整理としても不自然です(撥水撥油と耐食を同列にして「コーティング」と言い切っている点が“誤り”の狙いです)。

よって(3)が誤りになります。

4. 不織布の空隙率は70~80%である。

正しいです。

大学リポジトリ公開の学位論文内で、不織布の空隙率を算出し、70~80%の範囲が得られた旨が明記されています。

(用語補足)空隙率とは、布の体積のうち“すき間(空気の通り道)”が占める割合です。空隙率が大きいほど、一般に通気しやすい一方、捕集や圧力損失とのバランス設計が重要になります。

5. 合成繊維ろ材は電気抵抗率が高いので、高電気抵抗ダストの処理には、金属繊維を織り込むか、黒鉛処理をするなどの工夫がなされる。

正しいです(趣旨として)。

ここでいう電気抵抗率は「電気が流れにくさ」です。電気が流れにくい(抵抗率が高い)材料は、帯電した電荷が逃げにくく、静電気問題(付着・放電など)につながりやすくなります。実際に、労働安全衛生総合研究所(JNIOSH)の研究報告では、バグフィルターでの帯電と放電に関して、導電性繊維を分散させた“帯電防止型フィルタ”の挙動(抵抗率の変化・除電作用など)が議論されています。

したがって「金属繊維等の導電性材料を織り込むなど、帯電対策を施す」という方向性は妥当で、(5)は正しいと判断できます。

問題のポイント

  • 撥水・撥油性は「水・油をはじく性質」で、繊維では一般にフッ素系撥水撥油剤などで付与され、「塗料などのコーティング剤」と区別して説明されることがあります。
  • 織物の基本組織は平織・あや(斜文)織・朱子織が定番です。
  • 不織布の空隙率は高め(70~80%程度)になりやすい、という数値感を持つと判断が安定します。
  • 静電気対策として、ろ布に導電性繊維を混ぜる等の工夫が行われうる、という方向性は公的研究でも扱われています。

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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