公害防止管理者の過去問|令和5年 公害総論 問14 問題と解説

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問題14

ダイオキシン類に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。

2,3,7,8-TeCDD(テトラクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン)はダイオキシン類の中で(1)最も毒性が強く、(2)20℃ではほとんど気化せず、(3)水溶性であり、(4)750~800℃の加熱(5)紫外線で分解するなどの特徴がある。

問題14の解答

正解は「3」です。

問題14の解説

以下、(1)〜(5)の記述を公的機関が公開している一次情報そのものを使って検証します。

◆ (1)「最も毒性」→ 正しい

●公式根拠:環境省「ダイオキシン類対策特別措置法の概要

毒性等価係数(TEF)は、2,3,7,8-TCDD の毒性を 1(最大) として設定される。これにより、ダイオキシン類で最も毒性が強い=2,3,7,8-TCDDと公的に定義されている。

◆ (2)「20℃」→ 正しい

●公式根拠:NITE(製品評価技術基盤機構)CHRIP

2,3,7,8-TCDD の蒸気圧:2.0×10⁻⁹ mmHg(25℃)

これは「極めて揮発しにくい物質」であり、常温(20℃)ではほとんど気化しない。国立環境研究所(NIES)も「常温で揮発しにくい固体である」と指摘している。

◆ (3)「水溶性であり」→ 誤り

●公式根拠 ①(環境省)
環境省「ダイオキシン類に関するパンフレット」:「水に溶けにくく、油脂に溶けやすい性質をもつ。」

●公式根拠 ②(NIES)
国立環境研究所「ダイオキシン類—化学的性質」:「難水溶性であり、高脂溶性。生物濃縮性が高い。」

●公式根拠 ③(NITE CHRIP)
水溶解度:1.93×10⁻⁵ mg/L(25℃):事実上「ほとんど不溶」

2,3,7,8-TCDD は「極めて水に溶けない」物質であるため、「水溶性であり」は 完全に誤り。

◆ (4)「750~800℃の加熱で分解する」→ 正しい

●公式根拠:環境省「ダイオキシン類Q&A

  • 「ダイオキシン類は 800℃以上 で熱分解される。」国立環境研究所(NIES)
  • 「約700〜800℃以上で熱分解が進行」

したがって、750~800℃で分解という記述は公的情報と整合する。

◆ (5)「紫外線で分解する」→ 正しい

●公式根拠:NIES「ダイオキシン類—環境中での挙動

「太陽光(紫外線)による光化学反応で徐々に分解する。」
→ 分解速度は遅いが、「紫外線で分解」は科学的に正しい表現。

問題を解くポイント

★ ポイント1:TCDD の三大特徴は必ず覚える

最高毒性(TEF=1)
難水溶性・高脂溶性 → 生物濃縮
高温(800℃以上)で分解

★ ポイント2:「紫外線で分解」は意外に正しい

分解速度は極めて遅い
試験では「紫外線では分解しない」と誤って覚える受験者が多いので要注意

★ ポイント3:誤り選択肢は本質的性質に反するものが多い

TCDD の環境問題の核心は 水にほとんど溶けないこと
ここを違えている選択肢は迷わず誤りと判断できる

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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