
公害防止管理者の過去問|令和5年 ばいじん・粉じん特論 問10 問題と解説
問題10
電気集じん装置の逆電離現象に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ダスト層の見掛け電気抵抗率が109Ω・m以上と非常に高い場合に発生する。
- 定格電流付近における運転では、電圧値が正常時に比べて高くなる。
- 電流-電圧特性にヒステリシスを生じる。
- 間欠荷電は、現象の改善に効果がある。
- 電極上の固定ダスト層を除去すると起きにくくなる。
問題10の解答
正解は「2」です。
問題10の解説
この問題は、電気集じん装置の性能を著しく低下させる「逆電離現象(逆コロナ)」が発生した際の特徴や、その対策について正しく理解しているかを問うものです。 選択肢を一つずつ順番に検証し、その記述が「現象の理屈」に合っているかを確認していくことで正解にたどり着けます。
解答に至るまでのステップ
ステップ1 【選択肢1】 発生条件(電気抵抗率)を確認する
まず、選択肢1の「ダスト層の見掛け電気抵抗率が 109Ω・m以上」という条件が、逆電離の定義に合致するかを確認します。
- 現象のメカニズム: 電気集じん装置は、コロナ放電でダストをマイナスに帯電させ、プラス極(集じん極)に引き寄せて捕集します。 ダストが極板に到達した後、持っているマイナスの電気を極板へ逃がす必要がありますが、ダストの電気抵抗(電気の流れにくさ)が非常に高いと、電気が逃げずにダスト層に溜まってしまいます。
- 判定基準: 電気が流れにくい(絶縁性が高い)ダストほど、電気が溜まって火花(逆コロナ)が発生しやすくなります。 よって、選択肢1は「正しい」記述です。
ステップ2 【選択肢2・3】 電流と電圧の特性(V-I特性)を整理する
次に、選択肢2と3にある「運転時の電気的な挙動」を検証します。ここが最も重要な判断ポイントです。
- 逆電離時の挙動: ダスト層に溜まったマイナス電荷が限界を超えると、ダスト層の中で絶縁破壊(小さな雷のようなもの)が起き、プラスイオンが放電極に向かって逆流します。これを「逆電離」と呼びます。 このとき、電気回路としては「電気が異常に流れやすい状態(ショートに近い状態)」になります。 その結果、「電流は異常に多く流れる(火花頻発)」一方で、電圧を維持できなくなり「電圧は正常時より低くなる」という特徴的な現象が起きます。
- 選択肢2の判定: 選択肢2では「電圧値が正常時に比べて高くなる」としています。しかし、上記のとおり逆電離発生時は電圧が「低く」なります。 よって、選択肢2は「誤り」です。
- 選択肢3の判定: 電圧を上げていく時と、下げていく時で、電流の流れ方が異なる現象を「ヒステリシス」と呼びます。逆電離が起きると、ダスト層の状態が不安定になるため、この現象が顕著に現れます。 よって、選択肢3は「正しい」記述です。
ステップ3 【選択肢4・5】 対策方法の有効性を確認する
念のため、残りの選択肢が逆電離の対策として正しいかを確認します。
- 選択肢4(間欠荷電)の検証: 間欠荷電(パルス荷電)とは、電気をずっと流しっ放しにするのではなく、休み休み(パルス状に)流す方式です。電気を止めている間に、ダストに溜まった電荷が逃げる時間を稼げるため、電荷の蓄積(逆電離)を防ぐ効果があります。 よって、選択肢4は「正しい」記述です。
- 選択肢5(固定ダスト層の除去)の検証: 逆電離の原因は、極板上に堆積したダスト層が絶縁体として振る舞うことです。こびりついたダスト(固定ダスト層)をしっかり叩き落として除去すれば、電気の通り道が復活し、現象は起きにくくなります。 よって、選択肢5は「正しい」記述です。
以上のステップにより、明らかに矛盾している記述は 2 であると判断できます。
問題のポイント
電気集じん装置のトラブルに関しては、「電流と電圧の関係」をセットで覚えることが鉄則です。
本番での見分け方: 「逆電離 = 大電流・低電圧(電流ガバガバ、電圧スカスカ)」 というフレーズを覚えておけば、即座に「電圧が高くなる」という記述を誤りと見抜けます。
誤答選択肢が正しそうに見える理由: 「逆電離」という言葉や「異常発生」という状況から、なんとなく電圧も「異常に高くなる(サージ電圧のようなイメージ)」と勘違いしやすいです。
受験者が陥りやすい具体的な思考の流れ: 「109 という数値(選択肢1)は合っているか?」や「ヒステリシス(選択肢3)ってなんだっけ?」という難しい用語に気を取られ、最も基本的な「V-I特性(電圧と電流の関係)」の矛盾を見逃してしまいます。


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