
公害防止管理者の過去問|令和4年 ばいじん・粉じん特論 問6 問題と解説
問題6
電気集じん装置に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 一般には、円筒形よりも平板形の方が広く用いられる。
- 中容量以上のものでは、垂直形よりも水平形が用いられる。
- 一段式は、二段式に比べて再飛散防止に有効である。
- 湿式は、乾式に比べて集じん性能が高くなる。
- 10μm程度の粒子では、電界荷電に比べて拡散荷電が支配的である。
問題6の解答
正解は「5」です。
問題6の解説
「10μm程度の粒子では、電界荷電に比べて拡散荷電が支配的である」という記述が誤りです。実際には10 μmのような比較的大きな粒子では電界荷電(コロナ帯電)が支配的で、拡散荷電は無視できるほど小さくなります。
解答に至るまでのステップ
ステップ1: 選択肢ごとの正誤を個別に検討します。
「一般には、円筒形よりも平板形の方が広く用いられる。」: 電気集じん装置には円筒型(管型)と平板型がありますが、工業的には平板形(垂直板電極間にワイヤを張った型)が主流です。メンテナンスや構造の容易さから平板型が広く普及しており、この記述は正しいと言えます。
「中容量以上のものでは、垂直形よりも水平形が用いられる。」: 電気集じん装置の設置形態には、ガス流が垂直上昇する垂直流型と、水平方向に流れる水平流型があります。一般に処理ガス量が大きいプラントでは装置を横に長く配置できる水平形が採用されることが多く、中~大容量では水平流型が主流です。この記述も正しいといえます。
「一段式は、二段式に比べて再飛散防止に有効である。」: 一段式とは放電部と集じん部が一体の電気集じん装置、二段式は荷電部と集じん部を分けた方式です。一段式では捕集極上に形成されたダスト層に対し常に電界力が働き、荷電した粉じんが極板に留まりやすい傾向があります。また二段式は一次側で高電荷を付与した粒子が二次側極板に急激に付着する際に、逆電離を起こしやすく、再飛散を誘発することがあります。そのため、一段式の方が再飛散しにくいとされています。よって(3)は正しいです。
「湿式は、乾式に比べて集じん性能が高くなる。」: 湿式電気集じん装置(内部を常時洗浄する方式)は、ダストの比抵抗や再飛散の問題が大幅に低減されるため、同サイズなら乾式よりも微粒子捕集性能が向上します。特に、サブミクロン粒子や付w着性の高い粒子でも湿式では安定して高効率です。従って(4)も正しいです。
「10μm程度の粒子では、電界荷電に比べて拡散荷電が支配的である。」: 粒子の帯電メカニズムには、コロナイオンによる電界荷電(イオン付着)と熱運動するイオンとのランダム衝突による拡散荷電があります。一般に、0.2μm以下の微粒子では拡散荷電が支配的ですが、粒径が大きくなると電界荷電の寄与が大きくなります。10μmともなればほとんど電界荷電で荷電するため、記述は逆であり誤りです。
ステップ2: 以上の検討より、(5)だけが誤りであると判明します。
ステップ3: 念のため(5)の誤りをデータで確認します。
粉体工学会の用語解説によれば、「電気集じん装置では電界(コロナ)荷電と拡散荷電が同時に起こるが、0.2µm以下の微粒子では拡散荷電が支配的になる」とされています。つまり、10µm程度の粒子はその遥か上のサイズ領域であり、拡散荷電ではなく電界荷電が支配的です。従って(5)の記述が誤りであることが裏付けられます。
問題を解くポイント
(1) 電気集じん装置の形式: 電気集じん装置は大きく平板形(板状電極)と円筒形(筒状電極)に分かれます。実務では、構造が単純で大規模化しやすい平板形が多用されます。円筒形は小型装置や特殊用途に限られるため、選択肢(1)は常識的に正しい知識として押さえましょう。
(2) 一段式と二段式: 一段式は荷電と捕集を同空間で行い、二段式は前段で荷電・後段で捕集を行います。一段式は構造が簡単で、荷電から捕集まで一貫しているため粉じんの再飛散が起こりにくいメリットがあります。二段式は効率向上狙いですが、逆に逆電離現象などにより再飛散しやすい欠点もあります。選択肢(3)はこの点を述べており正しいです。
(3) 粒子径と帯電機構: 微粒子ほど熱運動によるイオン付着(拡散荷電)が相対的に重要になり、粗大粒子ほど電界中のイオン衝突(電界荷電)が主体となります。0.1~0.2µmあたりが両者の寄与が逆転する目安で、それより大きい粒子では電界荷電が主要な帯電機構です。10µmは明らかに電界荷電が支配的な領域なので、(5)の逆転した記述に注意が必要です。


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