
公害防止管理者の過去問|令和4年 水質概論 問5 問題と解説
問題5
最近(2017年度から2019年度の間)の3年間、環境省による公共用水域水質測定結果において、健康項目に係る環境基準に関して、次に示す5項目のうち、非達成率が最も高い項目はどれか。
- カドミウム
- 鉛
- ほう素
- セレン
- ひ素
問題5の解答
正解は「5」です。
問題5の解説
まず、この問題の根拠となるデータは、環境省が毎年公表している「公共用水域水質測定結果」です。
指定されている2017年度(平成29年度)から2019年度(令和元年度)のデータを確認すると、健康項目の達成率は全体として非常に高い水準(99%以上)で推移しています。
しかし、その中で「非達成(環境基準を超過している)」となっている地点の内訳を見ると、「ひ素」が最も高い割合を占めている傾向が続いています。具体的なデータ(環境省公表)を見てみましょう。
- 2019年度(令和元年度)の結果例:
- カドミウム:非達成率 0.0%
- 鉛:非達成率 0.0%
- ほう素:非達成率 約0.4%
- セレン:非達成率 0.0%
- ひ素:非達成率 約0.7%
【なぜ「ひ素」の非達成率が高いのか?】
ここが最も重要な「教授の視点」です。 カドミウムや鉛、シアンなどは、かつて工場排水などの「人為的な汚染」が主な原因でしたが、排水規制(水質汚濁防止法)の成果により、現在では環境基準超過はほとんど見られません。
一方で、「ひ素」や「ほう素」、「ふっ素」などは、地質的な要因(火山活動、温泉地帯、鉱床地帯など)による「自然由来」で検出されるケースが多くあります。日本は火山国であるため、こうした自然由来の重金属等が河川に含まれやすく、結果として環境基準の非達成率が他の項目よりも高くなるのです。
したがって、選択肢の中で、自然由来による検出頻度が高く、かつこの期間の統計で最も非達成率が高かったのは「ひ素」となります。
問題を解くポイント
この種の問題を解く際、すべての年度の数値を丸暗記する必要はありません。以下の「環境データのトレンド」を押さえておくことが合格への近道です。
- 「健康項目」の達成率はほぼ100%に近い
- 日本の水質管理は非常に優秀で、ほとんどの有害物質は環境基準を達成しています。
- 非達成の常連は「自然由来」の物質
- 「ひ素」(As)
- 「ふっ素」(F)
- 「ほう素」(B)
- これら3つはセットで覚えましょう。「火山や温泉、地質の影響で基準を超えることがある」と理解していれば、迷わず選ぶことができます。
- カドミウム・シアン・鉛などは「ほぼ0%」
- これらは過去の公害原因物質ですが、現在は厳しく管理されており、非達成になることは稀です。
「自然(Nature)の力は制御しきれない=非達成になりやすい(ひ素・ふっ素・ほう素)」とイメージしてください。


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