
公害防止管理者の過去問|令和4年 水質概論 問3 問題と解説
問題3
水質汚濁防止法に規定する指定物質に該当しないものはどれか。
- ポリ塩化ビフェニル
- キシレン
- トルエン
- ホルムアルデヒド
- 硫酸
問題3の解答
正解は「1」です。
問題3の解説
この問題を解く鍵は、水質汚濁防止法における物質の分類(ヒエラルキー)を理解することにあります。まず、結論から言うと、ポリ塩化ビフェニル(PCB)は「有害物質」であり、「指定物質」ではありません。環境省の定義および法令(水質汚濁防止法 第2条)では、物質を以下のように明確に区別しています。
- 有害物質(全28物質): 人の健康に直接的な被害を及ぼす恐れがある物質。
- 例:カドミウム、シアン、鉛、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、ベンゼンなど。
- 規制:最も厳しく、排水基準の遵守義務があり、違反すれば直ちに処罰対象となります。
- 指定物質(全56物質): 公共用水域に多量に排出されると、人の健康や生活環境に被害を生ずる恐れがある物質(有害物質を除く)。
- 例:ホルムアルデヒド、キシレン、トルエン、銅、亜鉛、フェノール類など。
- 規制:事故時の届出義務などが課されますが、一律の排水基準はありません。
【法的根拠】 水質汚濁防止法 第2条第4項において、「指定物質」は以下のように定義されています。
「有害物質以外の物質であつて、(中略)政令で定めるものをいう。」
つまり、法律の定義上、「有害物質」であるPCBは、「指定物質」にはなり得ない(除外される)のです。これが、PCBが正解となる最大の理由です。
- ポリ塩化ビフェニル(PCB): [× 指定物質ではない] これは「有害物質」です。カネミ油症事件などを引き起こした歴史的背景から、最も厳格な管理が求められています。
- キシレン: [○ 指定物質] 有機溶剤の一種で、指定物質リストに含まれています。
- トルエン: [○ 指定物質] これも代表的な有機溶剤で、指定物質リストに含まれています。
- ホルムアルデヒド: [○ 指定物質] シックハウス症候群などの原因物質としても知られ、指定物質リストに含まれています。
- 硫酸: [△ 解説参照] 「硫酸」という名称そのものは指定物質リスト(水質汚濁防止法施行令 第3条の3)にはありません。通常、酸やアルカリは「水素イオン濃度(pH)」として「生活環境項目」で規制されます。 しかし、この種の問題では「有害物質(Class A)」と「指定物質(Class B)」の混同を指摘させることが主眼であることが多いため、明らかにClass AであるPCBを選ぶのが正攻法です。
問題を解くポイント
試験本番で迷わないための「教授の思考法」を伝授します。
- 「有害物質」を完璧に覚える 指定物質は56種類もあり、全て覚えるのは大変です。しかし、有害物質(28種類)さえ覚えておけば、「これは有害物質だから、指定物質ではない!」と消去法で即答できます。
- カドミウム及びその化合物
- シアン化合物
- 有機燐化合物
- 鉛及びその化合物
- 六価クロム化合物
- 砒素及びその化合物
- 水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物
- ポリ塩化ビフェニル
- トリクロロエチレン
- テトラクロロエチレン
- ジクロロメタン
- 四塩化炭素
- 1,2-ジクロロエタン
- 1,1-ジクロロエチレン
- 1,2-ジクロロエチレン
- 1,1,1-トリクロロエタン
- 1,1,2-トリクロロエタン
- 1,3-ジクロロプロペン
- テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム)
- 2-クロロ-4,6-ビス(エチルアミノ)-s-トリアジン(別名シマジン)
- S-4-クロロベンジル=N・N-ジエチルチオカルバマート(別名チオベンカルブ)
- ベンゼン
- セレン及びその化合物
- ほう素及びその化合物
- ふっ素及びその化合物
- アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物
- 塩化ビニルモノマー
- 1,4-ジオキサン
この問題で「硫酸」に引っかかって悩んでしまうのは、勉強が進んでいる証拠です。しかし、マークシート方式の試験では「最も不適切なもの(明らかにカテゴリーが違うもの)」を選ぶのが鉄則です。「PCB=有害物質の王様」という認識を持っていれば、即座にこれを選べるようになりますよ。


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