
公害防止管理者の過去問|令和3年 大規模水質特論 問7 問題と解説
問題7
鉄鋼業からの排水処理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- コークス製造業に対するCODに係る総量規制基準のC値は、第1次に比べて第8次では値が小さくなっている。
- コークス製造業に対するCODに係る総量規制基準のC値は、第1次から第8次までを通して、電気炉による製鋼・製鋼圧延業に対する値よりも小さい。
- 製鉄所からの排水は、圧延加工、めっき及び化成処理などからの工程排水、排ガス洗浄及び湿式集じん機などからの汚濁排水、炉体及びロールなどの間接冷却からの排水からなる。
- 廃安水の主な汚染物質は、フェノール、アンモニア、シアン、コークス粉である。
- 製鉄所では水使用の合理化が進んでおり、これまでに、用水循環率が90%を超える報告例もある。
問題7の解答
正解は「1」です。
問題7の解説
この問題は、
鉄鋼業の中でも、どの工程の排水がどれくらい汚いか
それに対して、国がどれくらい厳しい規制をかけているか
を理解しているかを問っています。
特にカギになるのはコークス製造業の排水は、鉄鋼業の中でも特に汚れが強いという事実です。
解答に至るまでのステップ
ステップ1 コークス製造業の排水は「特に汚い」
コークス製造業では、
- 石炭を高温で乾留する
- 有機物が大量に出る
その結果、
- フェノール
- シアン
- アンモニア
- タール系物質
など、CODが非常に高くなりやすい排水が発生します。つまり「鉄鋼業の中でもトップクラスに汚い排水」です。
ステップ2 総量規制のC値は「汚れが強いほど厳しい」
次に、総量規制の考え方です。
CODの総量規制では、
- 排水の汚れが大きい業種ほど
- C値(許される負荷係数)は小さく(=厳しく)設定される
というのが基本ルールです。
そして実際に、
- コークス製造業
- 電気炉による製鋼・圧延
を比べると、コークス製造業のほうが排水は汚い。したがって、C値は「小さく(厳しく)」設定されるのが正しい理解です。
ステップ3 ②のどこが決定的におかしいのか
②の文章を見てみます。
コークス製造業に対するCODに係る総量規制基準のC値は、第1次から第8次までを通して、
電気炉による製鋼・製鋼圧延業に対する値よりも小さい。
一見すると正しそうに見えますが、ここに落とし穴があります。
ポイントは
👉 「第1次から第8次までを通して」
👉 「常に小さい」
と 言い切っている ところです。
実際の総量規制では、
- 規制回(第1次〜第8次)
- 業種区分の見直し
- 技術進歩
によって C値は段階的に変化しており、常に・一律に 他業種より小さいとは言えません。 「ずっと全部の回で小さい」と断定している点が誤りとなります。
ステップ4 他の選択肢が自然である理由
他の選択肢は、いずれも鉄鋼業の実態と一致します。
① 規制回が進むほどC値は小さくなる→ 規制強化なので自然
✔ 正しい
③ 排水の種類の説明→ 圧延・めっき・洗浄・冷却水など、実態どおり
✔ 正しい
④ 主な汚染物質→ フェノール・アンモニア・シアンは代表例
✔ 正しい
⑤ 用水循環率90%超→ 鉄鋼業は水再利用が非常に進んでいる
✔ 正しい
問題のポイント
この問題の最大のひっかけは、②の「第1次から第8次までを通して」という言葉です。
国家試験では、
- 「常に」
- 「すべて」
- 「一律に」
といった 言い切り表現は、事実とズレていることが非常に多いです。


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