
公害防止管理者の過去問|令和6年 ばいじん・粉じん特論 問14 問題と解説
問題14
JISによる排ガス中のダスト濃度測定のための水分量測定に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ダクトの中心部に近い1点だけから試料を採取してもよい。
- 1本の吸湿管内で、吸湿剤1g当たり0.1L/min以下の排ガスの吸引流量となるように吸引する。
- 吸湿剤で吸湿された水分が10g以上となるように吸引ガス量を選ぶ。
- 吸湿剤として、無水塩化カルシウム(粒状)などが用いられる。
- 平衡形試料採取装置を用いる場合、水分量をあらかじめ測定する必要はない。
問題14の解答
正解は「3」です。
問題14の解説
本問は、JISで定められている「吸湿管による水分量測定」の採取位置・吸引流量・吸引ガス量・吸湿剤・平衡形採取装置との関係を、規定どおりに理解しているかを問う問題です。
結論として、JISでは「吸引ガス量は、吸湿した水分が 0.1~1 g 程度となるように選ぶ」とされており、“10 g以上”は桁が違って過大で、誤りになります。
解答に至るまでのステップ
ステップ1 原理・原則(「水分量測定」とは何をしているか)を確認します
水分量測定(吸湿管法)は、排ガスを吸湿剤(乾燥剤)を詰めたガラス管(吸湿管)に通し、測定前後の吸湿管の質量差(増えた分)=吸湿された水分量、吸引したガス量から、排ガス中の水分量を計算する方法です。
環境省の技術資料でも、吸湿管に吸湿剤を入れて前後の重量差と吸引ガス量から求める流れが説明されています。 この方法では、吸湿剤の能力を超えて大量の水を捕まえようとすると吸湿不完全になり、誤差が増えます。したがってJISは「吸引流量」や「吸湿する水分量の目安」を具体的に制約しています。
ステップ2 各選択肢を、JISの考え方(条件・数値)に照らして正誤判定します
1. ダクトの中心部に近い1点だけから試料を採取してもよい。
→ 正しいと判断します。
水分量測定は、ダスト濃度測定のように断面内の多数点からの採取で平均化するというより、代表性のあるガスを採取して水分を求める目的で行います。実務解説資料でも、水分量測定はダスト試料採取ほど複雑な多点操作にならない扱いで説明されます。
2. 1本の吸湿管内で、吸湿剤1g当たり0.1L/min以下の排ガスの吸引流量となるように吸引する。
→ 正しいです。
JISの解説資料では、吸引流量について「吸湿剤1 g当たり0.1 L/min以下」とされています。 これは、流量が大きすぎると吸湿剤の乾燥能力が追いつかず、吸湿し切れない水蒸気が通り抜けてしまうのを防ぐためです。
3. 吸湿剤で吸湿された水分が10g以上となるように吸引ガス量を選ぶ。
→ 誤りです(本問の正解)。
JISでは、吸引ガス量は「吸湿した水分が 0.1~1 g となるように選ぶ」とされています。したがって「10 g以上」は、JISの目安(0.1~1 g)から少なくとも10倍~100倍の過大な条件であり、吸湿管・吸湿剤の設計思想に反します。
(初学者向け補足)この種の問題は、“0.1~1 g”という桁感が暗記ポイントで、10 gは「桁が違う」ひっかけになりやすいです。
4. 吸湿剤として、無水塩化カルシウム(粒状)などが用いられる。
→ 正しいです。
JISの引用規格として「塩化カルシウム(水分測定用)」が挙げられており、吸湿剤として無水塩化カルシウム等が使われる整理と整合します。
5. 平衡形試料採取装置を用いる場合、水分量をあらかじめ測定する必要はない。
→ 正しいと判断します。
(用語補足)平衡形試料採取装置は、等速吸引(排ガスの流速と同じ速度で吸い込むこと)を実現するために、装置側で圧力等を利用して吸引条件を合わせ込むタイプの装置です。
一般に、等速吸引の設定で密度補正などのために事前に水分量が必要になる場面がありますが、平衡形はその前提を軽減する運用が想定されています。
ステップ3 誤っているものが1つに定まることを確認します
JISが明示する数値条件として、吸湿する水分量は 0.1~1 g が目安です。 これと矛盾するのは「10 g以上」とする (3) だけなので、誤りは 3 で確定します。
問題のポイント
- 水分量測定(吸湿管法)は「吸湿管の質量増加」から水分を求める方法で、過大に吸湿させると誤差が増えます。
- JISの重要数値は
- 吸湿剤1 g当たり吸引流量:0.1 L/min以下
- 吸湿する水分量:0.1~1 g の“桁”です。
- 選択肢(3)は、まさにこの桁感(0.1~1 g)を崩してくる典型的なひっかけで、誤りとして判定しやすいポイントです。


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