
公害防止管理者の過去問|令和3年 ばいじん・粉じん特論 問8 問題と解説
問題8
ろ布の表面加工法に関する記述として、誤っているものはどれか。
- コーティング加工は、主に剥離性の向上を目的として、樹脂をスプレー等でろ布表面に付着、乾燥させる方法である。
- ディッピング加工は、主に耐食性、撥水・撥油性の向上を目的として、ろ材を薬液に浸漬した後、乾燥固着させる方法である。
- 膜加工は、主に捕集性、剥離性の向上を目的として、主に網状の薄膜を捕集側表面に張り付ける方法である。
- 平滑加工は、主に剥離性の向上を目的として、高温の二つの鏡面ドラムの間にフェルトろ布を通して、表面を鏡のように平滑に仕上げる方法である。
- 毛焼き加工は、主に耐食性の向上を目的として、ろ布表面の毛羽を焼き切って起毛を除く方法である。
問題8の解答
正解は「5」です。
問題8の解説
ろ布(フィルターバッグ)表面の加工法に関する記述で誤っているのは「毛焼き加工は、主に耐食性の向上を目的として、ろ布表面の毛羽を焼き切って起毛を除く方法である。」です。毛焼き加工の主目的は耐食性ではなく、表面の毛羽を焼いて平滑化しダスト剥離性を向上させることにあります。
毛焼き(シンジング)により繊維表面のけば立ちを除去すると、粉じんが繊維内部に食い込みにくくなり、ろ布表面で形成されるダストケーキの剥離が容易になる効果があります。耐食性(化学的耐久性)は主に素材の種類や樹脂加工で向上させるものであり、毛焼き加工の直接の目的ではありません。
他の選択肢は正しい説明です。
(1) コーティング加工 – 樹脂をスプレーなどでろ布表面に付着・乾燥させ、薄い被膜を作る方法です。これにより粉じんの付着離脱を容易にする(剥離性向上)ことが主目的で、微細粒子の捕集性向上にも効果があります。
(2) ディッピング加工 – ろ布を薬液(樹脂溶液など)に浸してから乾燥固着させる方法で、耐食性および撥水・撥油性の向上が主な目的です。例えば、シリコンやフッ素樹脂系の薬剤に浸すことで繊維表面を改質し、酸や水分に強くします。
(3) 膜加工 – 捕集側表面に微細な薄膜(多孔質フィルム)を貼り付ける方法で、微粒子の捕集性を飛躍的に高め、さらに表面ケーキの剥離性も良くする目的があります。代表例はPTFEメンブレンラミネートで、初期ろ過精度を向上させつつ清掃性を高めます。
(4) 平滑加工(カレンダー加工) – フェルトろ布を高温の鏡面ローラーで圧し固め、表面を平滑に仕上げる方法で、表面を滑らかにしてダスト剥離性を向上させます。
以上より、(5)だけが不適切な記述とわかります。
問題を解くポイント
各種表面加工法の主目的の違いを覚えて区別することが求められます。コーティング vs ディッピング vs 膜 vs 平滑 vs 毛焼きの「何の性能を向上させるか」を整理しましょう。特に、毛焼き加工は選択肢の中で異質で、「耐食性向上」は明らかに目的外であるため誤りと判断できます。表などにまとめて比較暗記しておくとこの種の問題に対応しやすくなります。
| 表面加工法 | 主目的(向上させる性能) | 代表的な効果・特徴 | 試験での着眼点 |
|---|---|---|---|
| コーティング | 耐食性・耐摩耗性・耐薬品性 | 塗膜・被膜を形成し、基材を外部環境から保護 | 「耐食性向上」は典型的な正答 |
| ディッピング(浸漬処理) | 防錆・耐食性・均一被覆 | 液体中に浸して表面全体を被覆 | コーティングの一種として扱われることが多い |
| 膜(薄膜形成) | 耐食性・機能付与(導電・絶縁など) | 化学的・物理的手法で薄い膜を形成 | 「表面機能を付与」がキーワード |
| 平滑加工 | 摩擦低減・付着防止 | 表面粗さを低減し流動性や洗浄性を向上 | 耐食性そのものは主目的ではない |
| 毛焼き加工 | 突起・繊維除去、外観・清浄性向上 | 表面の毛羽立ちや微細繊維を焼き切る | 耐食性向上は目的外(誤り) |


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