
公害防止管理者の過去問|令和7年 公害総論 問4 問題と解説

問題4
「ベンゼン等による大気の汚染に係る環境基準について」の達成期間に関する記述中、ア~ウの( )の中に挿入すべき語句(a~e)の組合せとして、正しいものはどれか。
ベンゼン等による大気の汚染に係る環境基準は、( ア )摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質に係るものであることにかんがみ、( イ )人の健康に係る被害が( ウ )防止されるようにすることを旨として、その維持又は早期達成に努めるものとする。
- 長期に
- 継続的に
- 原則として
- 未然に
- 将来にわたって
| 選択肢 | ア | イ | ウ |
|---|---|---|---|
| 1 | a | e | c |
| 2 | b | e | d |
| 3 | b | c | a |
| 4 | e | d | c |
| 5 | e | a | d |
問題4の答え
正解は「2」です。
問題4の解説
① 元になっている通知の文章を確認しよう
環境省告示「ベンゼン等による大気の汚染に係る環境基準について」の「第2 達成期間」には、次のように書かれています。
ベンゼン等による大気の汚染に係る環境基準は、継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質に係るものであることにかんがみ、将来にわたって人の健康に係る被害が未然に防止されるようにすることを旨として、その維持又は早期達成に努めるものとする。
これをそのまま問題文に当てはめると、こうなります。
ベンゼン等による大気の汚染に係る環境基準は、(ア)摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質に係るものであることにかんがみ、(イ)人の健康に係る被害が(ウ)防止されるようにすることを旨として、その維持又は早期達成に努めるものとする。
したがって、
- ア:継続的に(b)
- イ:将来にわたって(e)
- ウ:未然に(d)
となり、組合せは b・e・d → 選択肢2 が正解です。
② それぞれの言葉の意味と、なぜそうなるのか
ベンゼン等は、
- 一度に大量に吸い込む、中毒のような問題というより、
- 低濃度でも長期間吸い続けること(継続的摂取) による健康影響(発がん性など)が問題になります。
そのため、通知では明確に「継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある」としています。「長期に」でも意味は似ていますが、正式な文言は「継続的に」なので、条文・告示問題ではここを間違えるとアウトです。
ここでは、いつまで健康被害を防ぎたいのかがポイントです。
- ベンゼン等は、今だけでなく将来の健康影響(発がんなど)も問題になる物質です。
- そのため、環境基準を「今達成したら終わり」ではなく、「将来にわたって」守り続けることが要求されています。
実際の文言も、「将来にわたって人の健康に係る被害が…」となっており、時間的な広がりを強調しています。
ここは、「どのタイミングで」防止するのか、という話です。
- 「未然に防止」とは、被害が起こる前に予防するという意味です。
- ベンゼン等のような発がん性物質は、「発症してから治療」では遅く、
そもそも健康被害が出ないよう前もって対策することが重要です。
そのため、通知では「被害が未然に防止されるようにすることを旨として…」と明記しています。
③ 問題を解くポイント・覚え方
- まずは原文フレーズを丸ごと覚える 継続的に摂取される場合は、将来にわたって人の健康に係る被害が未然に防止されるようにする この3語セットは、公害総論で頻出の穴埋めポイントです。
- ベンゼン等の性質とセットでイメージする
- 「継続的に」:長期にわたるばく露が問題
- 「将来にわたって」:今だけでなく将来のリスクも
- 「未然に」:発症してからでは遅いので、事前予防
- 「原則として」は NO₂など別の環境基準の達成期間でよく出る
- 例:二酸化窒素の達成期間「原則として7年以内」など
- ベンゼン等の通知文には「原則として」は出てこない→ ここを入れ替えて出題されることが多いので要注意。
まとめると、この問題は以下を問う典型的な条文穴埋め問題です。
- ベンゼン等の環境基準に関する「達成期間」の通知文を
- 正確な言い回しレベルで覚えているか
「継続的に → 将来にわたって → 未然に防止」という流れをワンフレーズで覚えておくと、本試験で迷いにくくなります。


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