
公害防止管理者の過去問|令和4年 公害総論 問10 問題と解説

問題10
水質汚濁の現状に関する記述として、誤っているものはどれか(環境省:令和元年度公共用水域水質測定結果及び地下水質測定結果(概況調査)による)。
- 人の健康の保護に関する環境基準(27項目)の達成率が最も低いのは、河川、湖沼、海域のうち、河川であった。
- BOD又はCODの環境基準の達成率が最も低いのは、河川、湖沼、海域のうち、湖沼であった。
- 公共用水域において、人の健康の保護に関する環境基準の超過率が高い項目は、ひ素、ふっ素であった。
- 地下水の調査実施井戸約3200本のうち環境基準を超過する項目がみられた井戸は、2%以下であった。
- 地下水の環境基準の超過率が高い項目は、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ひ素であった。
問題10の解答
正解は「4」です。
問題10の解説
◆選択肢1→正しい
人の健康の保護に関する環境基準(27項目)の達成率が最も低いのは、河川、湖沼、海域のうち、河川であった。
根拠:(環境省:令和元年度公共用水域水質測定結果)
公共用水域における健康項目の超過地点(令和元年度):
- 河川:45 地点
- 湖沼:3 地点
- 海域:0 地点
超過地点が最も多い=達成率が最も低いのは 河川。
◆選択肢2→正しい
BOD 又は COD の環境基準の達成率が最も低いのは、河川、湖沼、海域のうち、湖沼であった。
根拠:(環境省:令和元年度公共用水域水質測定結果)
- 河川(BOD):94.1%
- 湖沼(COD):50.0%
- 海域(COD):80.5%
最も低いのは 湖沼(COD)で圧倒的に低い。
◆選択肢3→正しい
公共用水域において、人の健康の保護に関する環境基準の超過率が高い項目は、ひ素、ふっ素であった
根拠:環境省「令和元年度 公共用水域水質測定結果」
超過が見られた健康項目:カドミウム、鉛、砒素(ひ素)、1,2-ジクロロエタン、硝酸性窒素・亜硝酸性窒素、ふっ素、特に ひ素・ふっ素 は“自然由来で比較的多い”と解説されている。
健康項目で超過率が比較的高いのは 砒素(ひ素)・ふっ素。
◆選択肢4→誤り
地下水の調査実施井戸約3200本のうち環境基準を超過する項目がみられた井戸は、2%以下であった。
根拠(環境省:令和元年度地下水質測定結果【概況調査】)
- 調査井戸数:3191 本
- いずれかの項目で環境基準超過の井戸:191 本
- 環境基準超過率 = 191 / 3191 = 約 6.0%
環境省資料にも明記:「概況調査の環境基準超過率は 6.0% であった。」
→ 2%以下ではなく、約 6%(3倍以上の差があるため、明確に誤り)
◆選択肢5
地下水の環境基準の超過率が高い項目は、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ひ素であった。
根拠(環境省:令和元年度地下水質測定結果【概況調査】)
項目別超過率(令和元年度):
- 硝酸性窒素・亜硝酸性窒素:3.0%(最高)
- 砒素(ひ素):2.1%(2番目に高い)
- ふっ素:1.0%
- 鉛:0.4%
- テトラクロロエチレン:0.2%
よって、地下水で超過率が高い項目は硝酸性窒素+亜硝酸性窒素、砒素。
問題を解くポイント
◆ポイント1:公共用水域と地下水の区別
- 公共用水域は 健康項目達成率が非常に高い(99%超)
- 生活環境項目では 湖沼 COD が最も弱い
◆ポイント2:地下水の「概況調査」は超過率が高い
- 超過率は 6%前後
- 最も超過が多いのは「硝酸性窒素・亜硝酸性窒素 → 砒素 → ふっ素」
◆ポイント3:数字(%)は典型的ひっかけ
- 「2%以下」「1%未満」などの極端に小さい数字は疑う
- 環境省データの数字を“感覚で”覚えると強い
(例:湖沼 COD ≒ 50%、河川 BOD ≒ 90%台、地下水概況 ≒ 6%)


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