
公害防止管理者の過去問|令和3年 公害総論 問7 問題と解説

目次
問題7
成層圏オゾン層を破壊する原因となる物質として、誤っているものはどれか。
- 六ふっ化硫黄
- 四塩化炭素
- 臭化メチル
- 1,1,1-トリクロロエタン
- クロロフルオロカーボン
問題7の解答
正解は「1」です。
問題7の解説
この問題は、「成層圏オゾン層を破壊する原因となる物質(オゾン層破壊物質=ODS)かどうか?」を、代表的な化合物ごとに見抜けるかを問う問題です。
結論から言うと、選択肢 2~5 に挙がっている四塩化炭素、臭化メチル、1,1,1-トリクロロエタン、CFC(クロロフルオロカーボン)はいずれも オゾン層破壊物質(ODS)です。一方、六ふっ化硫黄(SF₆)は温室効果ガスであり、オゾン層を破壊しないので、誤っている(オゾン層破壊物質でないのに「原因物質」として挙げている)のは 1番 となります。
オゾン層を破壊する物質は、モントリオール議定書(Montreal Protocol)で規制対象としてリスト化されている「ODS=Ozone Depleting Substances」です。主な ODSは以下の通りです。
- CFC(クロロフルオロカーボン)
- ハロン
- 四塩化炭素(Carbon tetrachloride)
- 1,1,1-トリクロロエタン(Methyl chloroform)
- 臭化メチル(Methyl bromide)
- HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン) など
日本でも同様に、これらは「オゾン層保護法」等で規制対象になっています。
スクロールできます
| 選択肢 | 物質 | オゾン層破壊物質か? | 判定 |
|---|---|---|---|
| 1 | 六ふっ化硫黄(SF₆) | いいえ(温室効果ガス) | ❌(誤り) |
| 2 | 四塩化炭素(CCl₄) | はい | ○ |
| 3 | 臭化メチル(CH₃Br) | はい | ○ |
| 4 | 1,1,1-トリクロロエタン | はい | ○ |
| 5 | クロロフルオロカーボン | はい | ○ |
問題を解くポイント
ポイント1:ODS(オゾン層破壊物質)の「典型セット」を覚える
最低限、このあたりは 固まりで暗記しておくと、公害総論で非常に有利です。
- CFC(クロロフルオロカーボン)
- ハロン(Halon)
- 四塩化炭素(Carbon tetrachloride)
- 1,1,1-トリクロロエタン(Methyl chloroform)
- HCFC
- 臭化メチル(Methyl bromide)
⇒ これらは モントリオール議定書の代表的 ODS。
ポイント2:SF₆は「オゾン」ではなく「温暖化」側のプレイヤー
- SF₆ は オゾン層にはほぼ影響せず、ODP=0
- しかし GWP(地球温暖化係数)が非常に大きい
- → 温室効果ガス(京都議定書ガス)の一つとして、地球温暖化対策で登場する
「SF₆=温暖化」「CFC=オゾン層破壊」と頭の中でラベルを分けておくと混乱しにくくなります。
ポイント3:語句を入れ替えるひっかけに注意
本問のように、「SF₆ 」「HFC」「PFC」など温暖化側のフロンと「CFC」「HCFC」「ハロン」などオゾン側のフロンを故意に混ぜて出す問題は頻出です。


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