
公害防止管理者の過去問|令和3年 公害総論 問12 問題と解説

問題12
騒音・振動の状況に関する記述中、(ア)~(ウ)の中に挿入すべき語句・数値の組合せとして、正しいものはどれか(令和2年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書による)。
- 騒音苦情件数は、振動苦情件数の約( ア )倍である。
- 発生源別の苦情件数は、振動では( イ )が最も多い。
- 近隣騒音は、騒音に係る苦情全体の約( ウ )%を占めている。
| 選択肢 | ア | イ | ウ |
|---|---|---|---|
| 1 | 10 | 建設作業振動 | 7 |
| 2 | 10 | 工場・事業場 | 17 |
| 3 | 5 | 建設作業振動 | 7 |
| 4 | 5 | 工場・事業場 | 7 |
| 5 | 5 | 建設作業振動 | 17 |
問題12の解答
正解は「5」です。
問題12の解説
この問題は、令和2年版環境白書に掲載されているデータ(実際には平成30年度の統計)に基づき、以下を正しく把握しているかを問うものです。
- 騒音苦情件数と振動苦情件数の「件数比(何倍か)」
- 振動苦情の「発生源別で一番多いもの」
- 騒音苦情全体に占める「近隣騒音」の割合
(ア) 騒音苦情件数は、振動苦情件数の約(ア)倍
- 騒音苦情件数(平成30年度):16,165件
- 振動苦情件数(平成30年度):3,399件
上記を見ると、おおよそ 5倍 とみなせます。したがって、(ア) に入るのは「5」 が妥当です。
(イ) 発生源別の振動の苦情件数で最も多いもの
環境省「平成30年度振動規制法施行状況調査の結果について」によると、発生源別で最も苦情が多いのは「建設作業振動」 です。したがって、 (イ) に入るのは 「建設作業振動」。
(ウ) 近隣騒音は、騒音に係る苦情全体の約(ウ)%
「近隣騒音(生活騒音)」は、事業場や建設よりも「家庭・店舗など日常生活起因」の騒音を指します。
環境省の過去の環境白書では、「近隣騒音」の割合について次のような表現があります。平成21年版環境白書では、 「近年、営業騒音、拡声機騒音、生活騒音等のいわゆる近隣騒音は、騒音に係る苦情全体の約20% を占めています。」騒音に関する苦情の構成割合は、近年も「近隣騒音が約2割前後」で推移しており、環境省のパンフレットなどでも同様の表現が用いられています。
本問の選択肢では、(ウ) の候補は「7%」「17%」であり、「17%」は「約2割」として妥当な近似と判断できます。したがって、(ウ) に入るのは「17(%)」 が適切です。
→ 選択肢の中で (ウ) が「17」となっているのは 2 と 5 です。
問題を解くポイント
ポイント1:騒音と振動の苦情件数比は「おおよそ 5:1」
- 騒音苦情 ≒ 1.6万件
- 振動苦情 ≒ 3千件強
→ およそ 5倍 の関係、この「5倍」という感覚を覚えておくと、ざっくりした比較問題に強くなります。
ポイント2:振動の主な発生源は「建設作業」
環境省の振動調査では毎年、「振動の苦情は 建設作業振動が約7割 と圧倒的に多い」という構図が定番です。逆に「工場・事業場振動」が最多だとする記述は、ひっかけになりがちです。
ポイント3:近隣騒音の割合は「約2割(≒17〜20%)」
近隣騒音(生活騒音)は、騒音苦情全体の 約2割前後と環境白書・パンフレットで繰り返し説明されています。選択肢に「7%」「17%」のような数字があった場合、「2割に近いのはどちらか」 で判断するとよいでしょう。


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