
公害防止管理者の過去問|令和3年 公害総論 問13 問題と解説

問題13
産業廃棄物に関する記述として、誤っているものはどれか(環境省調べによる)。
- 我が国の産業廃棄物の総排出量は、約4億t前後で推移している。
- 2017年度の業種別排出量では、電気・ガス・熱供給・水道業が最も多い。
- 2017年度の種類別排出量では、汚泥が最も多く、次いで動物のふん尿、がれき類である。
- 2017年度の総排出量のうち、中間処理されたものは全体の約50%、直接再生利用されたものは全体の約10%である。
- 2017年度において再生利用率が高いものは、がれき類、動物のふん尿、金属くず、鉱さいなどである。
問題13の解答
正解は「4」です。
問題13の解説
この問題は、環境省が公表している 「産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度実績)」 のデータに基づき、2017(平成29)年度の産業廃棄物の排出量・処理状況に関する理解を問うものです。元データ(環境省 報道発表・調査結果)は以下です。
- 環境省 報道発表
「産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度実績)について」
https://www.env.go.jp/press/107628.html - 調査結果 概要PDF(排出量・処理フロー等)
https://www.env.go.jp/content/000226637.pdf
選択肢1→ 正しい
我が国の産業廃棄物の総排出量は、約4億t前後で推移している。
概要PDFの「図1-1 産業廃棄物排出量の推移」によると、平成8年度以降の全国総排出量は、概ね 3.8〜4.1億トン程度で推移しています。
- 平成28年度:387,034千トン(約3.87億トン)
- 平成29年度:383,544千トン(約3.84億トン)
報道発表本文でも、平成29年度の総排出量について「平成29年度における全国の産業廃棄物の総排出量は約3億8,354万トン」とされています。「約4億t前後で推移」という表現は、3.8〜4億トンのレンジをざっくり示しており、概ね正しい といえます。
なお、最新情報は以下のとおりです。
公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団より引用
選択肢2→ 正しい
2017年度の業種別排出量では、電気・ガス・熱供給・水道業が最も多い。
「② 業種別排出量」で産業廃棄物の排出量を業種別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(下水道業を含む。)からの排出量が最も多く、約102,003千トン(全体の26.6%)、次いで建設業(約78,706千トン、20.5%)、農業・林業(約78,316千トン、20.4%)…と記載されています。
平成29年度(2017年度)の業種別排出量のトップは電気・ガス・熱供給・水道業 であり、選択肢の記述そのものです。よって、 選択肢2は正しい。なお、現在もこの傾向は特に変わりありません。
選択肢3→ 正しい
2017年度の種類別排出量では、汚泥が最も多く、次いで動物のふん尿、がれき類である。
概要PDF p.2「③ 種類別排出量」では、「汚泥の排出量が最も多く、約170,695千トン(全体の44.5%)、
次いで動物のふん尿が約77,894千トン(20.3%)、がれき類が約59,773千トン(15.6%)であった。」という情報があります。報道発表本文(107628)でも同じ内容がまとめられています。
上位3種類は「汚泥 → 動物のふん尿 → がれき類」の順であり、選択肢3の記述と一致しています。よって、選択肢3は正しい。
選択肢4→ 誤り:正解
2017年度の総排出量のうち、中間処理されたものは全体の約50%、直接再生利用されたものは全体の約10%である。
概要PDF p.6「(2)産業廃棄物の処理状況 ①処理フロー」では、総排出量約383,544千トンのうち、
中間処理されたものは約304,460千トン(全体の79%)、直接再生利用されたものは約74,313千トン(同19%)、直接最終処分されたものは約4,771千トン(同1%)と明記されています。
つまり、中間処理量:79%(約8割)、直接再生利用量:19%(約2割)です。選択肢は、実際の値(79%・19%)とは大きく異なり、明確に誤りです。選択肢4が誤っている記述となります。
選択肢5→ 正しい
2017年度において再生利用率が高いものは、がれき類、動物のふん尿、金属くず、鉱さいなどである。
概要PDF p.8「③ 産業廃棄物の種類別の処理状況」では、「再生利用率が高い廃棄物は、がれき類(96%)、動物のふん尿(95%)、金属くず(94%)、鉱さい(92%) 等であった。」と記載されています。選択肢5は、がれき類・動物のふん尿・金属くず・鉱さいを「再生利用率が高いもの」として挙げており、これは環境省データと完全に一致します。
問題を解くポイント
ポイント1:総排出量のオーダーをつかんでおく
「日本の産業廃棄物の総排出量 ≒ 3.8〜4億トン」という感覚を持っておくと、「1億トン」「10億トン」などの極端な数字を排除しやすくなります。
ポイント2:業種別トップは「電気・ガス・熱供給・水道業」
次いで「建設業」「農業・林業」がほぼ同じ規模で続く。この3業種で全体の約7割弱を占めるため、頻出ポイントです。
ポイント3:種類別トップ3は「汚泥・ふん尿・がれき類」
3つで全体の約8割を占める。これはほぼどの年度でも共通する“鉄板知識”。
ポイント4:「処理フローの比率(中間処理・直接再生利用)」に注意
平成29年度
- 中間処理:約79%
- 直接再生利用:約19%
- 直接最終処分:約1%
「50%」「10%」のような小さすぎる値が出たら疑うクセをつける。
ポイント5:再生利用率の高い代表例を押さえる
がれき類・動物のふん尿・金属くず・鉱さい→ 再生利用率 90%超の“優等生”
逆に汚泥・廃酸・廃アルカリなどは再生利用率が低め、これらをセットで覚えると、処理状況を問う問題に強くなります。




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