
公害防止管理者の過去問|令和4年 公害総論 問14 問題と解説

問題14
ダイオキシン類に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ダイオキシン類対策特別措置法で定義されているのは、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ジベンゾ‒パラ‒ジオキシン及びコプラナーポリ塩化ビフェニルである。
- 最も毒性の強い2,3,7,8-テトラクロロジベンゾフランの毒性を1(基準)として、その他毒性のある異性体の毒性は、相対的な毒性を表わす毒性等価係数(TEF)で表わされる。
- ダイオキシン類は通常、複数の異性体の混合物として存在する。
- 排出量は各異性体の量にTEFを乗じて、それらを足し合わせた値(毒性当(等)量)として算出される。
- 2019(令和元)年におけるダイオキシン類の排出総量は、第3次計画のダイオキシン類削減目標量を下回っており、削減目標は達成されている。
問題14の解答
正解は「2」です。
問題14の解説
以下、選択肢1〜5の記述を公式データで検証していきます。
◆選択肢1→ 正しい
ダイオキシン類対策特別措置法で定義されているのは、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン及びコプラナーポリ塩化ビフェニルである。
根拠(法律:ダイオキシン類対策特別措置法 第2条)
「ダイオキシン類」とは、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、コプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)をいう。
◆選択肢2→ 誤り:正解
最も毒性の強い 2,3,7,8-テトラクロロジベンゾフラン の毒性を 1(基準)とする。
●根拠:福岡県「ダイオキシン類の毒性等価係数(TEF)」
これは 明確に誤り。毒性等価係数(TEF)の基準となる「毒性 1」の物質は、2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン(2,3,7,8-TCDD及び 1,2,3,7,8-PeCDD)であり、テトラクロロジベンゾフラン(TCDF)ではない。なお、2,3,7,8-テトラクロロジベンゾフランの毒性等価係数は0.1となっています。
◆選択肢3→ 正しい
ダイオキシン類は通常、複数の異性体の混合物として存在する。
●根拠:一般社団法人九州地方計画協会「環境ホルモンおよびダイオキシンについて」
PCDD(75種)、PCDF(135種)、コプラナーPCB(12種)があり、実際の試料は多数の異性体が混ざって存在しています。
◆選択肢4→ 正しい
排出量は各異性体の量に TEF を乗じて、それらを足し合わせた値(毒性等量)として算出される。
●根拠:国立環境研究所「循環・廃棄物の豆知識」
異性体ごとの濃度 × TEF を合算した値を 毒性等量(TEQ) とし、排出量や濃度は TEQ で評価するため、この記述は正しいと言えます。
◆選択肢5→ 正しい
2019(令和元)年のダイオキシン類排出総量は、第3次計画の削減目標量を下回っており、削減目標は達成されている。
令和元年の排出総量(大気排出量 + 水域)は122 g-TEQ/年(目標値 176 g-TEQ/年 以下)
→ 第3次削減目標を達成。
問題を解くポイント
◆ポイント① TEF の基準物質は 2,3,7,8-TCDD
- 公害総論で最重要ワード
- 「TCDD=毒性 1」と覚える
- フラン類の TCDF が出たら 必ず誤り
◆ポイント② ダイオキシン類の法的定義は3つ
- PCDD
- PCDF
- コプラナーPCB
→ 法律に忠実に覚える(ダイオキシン法 第2条)


コメント