
公害防止管理者の過去問|令和4年 公害総論 問6 問題と解説

問題6
公害・環境問題とその原因物質との組合せとして、誤っているものはどれか。
| 選択肢 | 公害・環境問題 | 原因物質 |
|---|---|---|
| 1 | 酸性雨 | 窒素酸化物 |
| 2 | 地下水汚染 | トリクロロエチレン |
| 3 | 四日市ぜん息 | 硫黄酸化物 |
| 4 | イタイイタイ病 | ひ素化合物 |
| 5 | 海洋汚染 | マイクロプラスチック |
問題6の解答
正解は「4」です。
問題6の解説
各選択肢が正しい組合せかどうかを、公的資料の根拠を示しながら丁寧に検証します。
◆選択肢1 酸性雨 ― 窒素酸化物→ 正しい
●根拠:環境省「酸性雨とは」
酸性雨は、化石燃料の燃焼などに伴って排出される。硫黄酸化物(SOx)および窒素酸化物(NOx)が大気中で硫酸・硝酸となり、雨に溶け込むことで起こる。酸性雨の原因物質として 窒素酸化物(NOx) が挙げられているため、組合せは正しい。
◆選択肢2 地下水汚染 ― トリクロロエチレン→ 正しい
●根拠:環境省「地下水汚染の状況」
地下水汚染の主な原因物質として、トリクロロエチレン・テトラクロロエチレンなどの揮発性有機化合物(VOC)が挙げられる。トリクロロエチレンは、実際に地下水基準超過地点で最も多い VOC の1つである。
◆選択肢3 四日市ぜん息 ― 硫黄酸化物→ 正しい
●根拠:環境省「公害健康被害補償制度」
四日市ぜん息(四日市公害)とは、石油化学コンビナートから大量に排出された硫黄酸化物(SO₂) によって大規模な大気汚染が生じ、喘息や気管支炎などの健康被害が発生した。四日市ぜん息の原因物質は 硫黄酸化物(SO₂) で正しい。
◆選択肢4 イタイイタイ病 ― ひ素化合物→ 誤り(正解)
イタイイタイ病の原因物質は カドミウム(Cd)であるため、間違った選択肢です。
●根拠:環境省「公害等調整委員会:イタイイタイ病」、富山県「イタイイタイ病の概要」
イタイイタイ病は、神岡鉱山から排出されたカドミウムによる慢性中毒 が原因となって発生した。ひ素ではないので注意してください。
◆選択肢5 海洋汚染 ― マイクロプラスチック→ 正しい
●根拠:環境省「海洋プラスチック問題」
環境省では、海洋ごみにおける最大の問題としてマイクロプラスチック(5mm以下の微小プラスチック)による海洋汚染を明確に指摘している。マイクロプラスチックは生態系への悪影響や海洋環境の汚染を引き起こす重要な環境問題。組合せは正しい。
問題を解くポイント
◆ポイント1:四大公害病は「原因物質」が超重要
公害病主な原因物質
- イタイイタイ病:カドミウム
- 水俣病:メチル水銀
- 新潟水俣病:メチル水銀
- 四日市ぜん息:硫黄酸化物(SO₂)
※ひ素は 公害病の原因ではない(地下水汚染ではよく出るが別問題)
◆ポイント2:地下水汚染といえば「トリクロロエチレン・テトラクロロエチレン」
過去問で頻出。VOCの代表例。
◆ポイント3:酸性雨の原因物質は「NOx と SOx」
基本中の基本。本問では SOx を書かずに NOx だけを選ばせる“部分指定型ひっかけ”。
◆ポイント4:海洋汚染は近年「マイクロプラスチック」が定番化
特に SDGs や環境白書で強調されるテーマなので正答率を上げやすい。


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