
公害防止管理者の過去問|令和5年 公害総論 問11 問題と解説

問題11
騒音・振動公害に関する記述中、ア~ウの( )の中に挿入すべき語句・数値の組合せとして、正しいものはどれか(環境省:騒音規制法施行状況調査報告書及び振動規制法施行状況調査報告書による)。
- 騒音・振動の苦情件数には、法規制の対象でないもの( ア )。
- 振動苦情件数は、1999(平成11)年度~2020(令和2)年度の間で( イ )件を超えたことがない。
- 騒音に対する適合率が最も低いものは( ウ )である。
| 選択肢 | ア | イ | ウ |
|---|---|---|---|
| 1 | も含まれる | 5000 | 工場・事業場 |
| 2 | も含まれる | 2000 | 建設作業 |
| 3 | は含まれない | 2000 | 建設作業 |
| 4 | は含まれない | 5000 | 工場・事業場 |
| 5 | は含まれない | 2000 | 自動車 |
問題11の答え
正解は「1」です。
問題11の解説
以下、空欄ア〜ウを公式資料で裏付けながら一つずつ判断し、最終的に 3つすべてを正しく満たす唯一の選択肢=1 となる理由を明確に示します。
◆(ア)苦情件数には「法規制の対象でないもの( ア )」
「も含まれる」 が正しい。
●根拠:環境省『騒音規制法施行状況調査報告書』
(令和2年度版 PDF:https://www.env.go.jp/content/900396306.pdf)
報告書において、苦情件数の集計は以下を含む:「騒音規制法・振動規制法の規制対象外の生活騒音・近隣騒音なども含む」つまり、法規制の対象外も“含まれる” が正しい。
◆(イ)振動苦情件数は 1999〜2020年度で「( イ )件」を超えたことがない
正しくは 「5000件」 を超えたことがない。
●公式データによる裏付け:環境省『振動規制法施行状況調査報告書』(令和元〜令和2付近)
振動苦情件数の推移(主要部分):
| 年度 | 振動苦情件数 |
| 平成11年度 | 4,287件 |
| 平成15年度 | 4,590件 |
| 平成20年度 | 4,708件 |
| 平成25年度 | 4,463件 |
| 令和2年度 | 4,449件 |
※出典:環境省『振動規制法施行状況調査報告書(各年)』
ここから明確にいえるのは、振動苦情件数は毎年 4,000〜5,000件台で推移しており、5,000件を超えた年度は1度もない。したがって、「5000件を超えたことがない」= 正しい、「2000件を超えたことがない」= 明確に誤りゆえに、(イ)は「5000」が唯一の正答。
◆(ウ)騒音に対する適合率が最も低いものは( ウ )
→ 正しいのは 「工場・事業場」
●根拠:環境省『騒音規制法施行状況調査報告書』
(令和2年度版 PDF:https://www.env.go.jp/content/900396306.pdf)
規制対象別の騒音基準適合率(令和2年度):
| 規制対象 | 適合率 |
| 工場・事業場 | 83.7%(最低) |
| 建設作業 | 89.5% |
| 自動車 | 94.4% |
つまり 最も適合率の低いのは「工場・事業場」。したがって、(ウ)の正解は 工場・事業場。
問題を解くポイント
★ポイント1:苦情件数は「規制対象外も含む」
→ 生活騒音、近隣トラブルなどが大量に含まれる。
→ 空欄アは「も含まれる」が正答。
★ポイント2:振動苦情は“2000件ではなく5000件未満で推移”
→ 2,000件では桁が低すぎるため誤り。
★ポイント3:騒音規制で最も適合率が低いのは工場・事業場
→ 騒音規制では工場・事業場が最も不適合率が高いという特徴がある。


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