
公害防止管理者の過去問|令和5年 公害総論 問7 問題と解説

目次
問題7
粒子状物質(PM)の種類に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ばいじんとは、燃料などの燃焼に伴って発生するものである。
- 粉じんとは、物の破砕や選別等に伴い発生、飛散するものである。
- 浮遊粒子状物質とは、大気中に浮遊しているPMで、粒径2.5μm以下のものである。
- 一次粒子とは、工場やディーゼル自動車などの発生源から排出されるものである。
- 二次生成粒子とは、SO2、NOxやVOCなどから大気中で生成するものである。
問題7の解答
正解は「3」です。
問題7の解説
粒子状物質(PM)には、発生の仕方や大きさによっていろいろな呼び方があります。それぞれの正しい定義と比べて、どこが間違っているかを確認していきましょう。
選択肢1
ばいじんとは、燃料などの燃焼に伴って発生するものである。
概ね正しい説明です。
- 「ばいじん」は、燃料などの燃焼や、各種の加熱・溶解などの工程に伴って発生する固体粒子を指します。
- 法律上は、ばい煙(ばいじん+硫黄酸化物+窒素酸化物など)として規制されますが、日常的な解説では「燃料などの燃焼に伴って発生する粒子状物質」と説明されます。
よって、この選択肢は 正しい とみなせます。
選択肢2
粉じんとは、物の破砕や選別等に伴い発生、飛散するものである。
正しい説明です。
- 「粉じん」は、岩石・鉱石・セメント・穀物などの破砕・研磨・運搬・選別といった機械的操作に伴って発生し、飛散する細かい固体粒子のことです。
- 採石場や建設現場で発生するホコリ、工場の粉砕工程で出る粉などが代表例です。
したがって、選択肢2は 正しい です。
選択肢3(誤り:ここが正解)
浮遊粒子状物質とは、大気中に浮遊しているPMで、粒径2.5μm以下のものである。
ここが明確に誤りです。
- 日本の環境基準でいう 「浮遊粒子状物質(SPM)」 とは、 「大気中に浮遊する粒子状物質のうち、空気力学的直径10 μm 程度以下で、かつ、おおむね数時間以上大気中に浮遊しうるもの」と定義されています(ざっくり言えば 10 μm 以下)。
- 一方、PM2.5 は 「2.5 μm 以下の微小粒子状物質」を指します。
つまり、
- SPM:10 μm 以下
- PM2.5:2.5 μm 以下
であり、問題文の「SPM=2.5 μm 以下」は PM2.5の定義をそのまま当てはめてしまった誤り です。
したがって、選択肢3が 誤り(正解肢) になります。
選択肢4
一次粒子とは、工場やディーゼル自動車などの発生源から排出されるものである。
正しい説明です。
- 一次粒子(一次生成粒子):
- 工場のばい煙、ディーゼル車のスス、土ぼこりなど、
- 発生源から直接排出される粒子 を指します。
よって、選択肢4は 正しい です。
選択肢5
二次生成粒子とは、SO2、NOxやVOCなどから大気中で生成するものである。
これも正しいです。
- 二次生成粒子(二次粒子) とは、SO₂(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)、NH₃(アンモニア)、VOCなどの気体状汚染物質が大気中で化学反応し、硫酸塩、硝酸塩、有機エアロゾルなどの粒子として新たに生成したものです。
- PM2.5のかなりの部分は、こうした二次生成粒子が占めています。
したがって、選択肢5も 正しい です。
問題を解くポイント
- SPMとPM2.5を区別して覚える
- SPM:10 μm以下(日本の環境基準の用語)
- PM2.5:2.5 μm以下(より細かい粒子)
→ 「SPM=10、PM2.5=2.5」とセットで暗記しておくと、今回のようなひっかけに強くなります。
- 発生メカニズムで名前が変わることを意識する
- ばいじん:主に燃焼由来
- 粉じん:破砕・研磨など機械的工程由来
- 一次粒子:直接排出された粒子
- 二次粒子:ガスから大気中で化学反応により生成
- 「2.5 μm以下」と書いてあったら、まずPM2.5を疑う
- PMの問題では「2.5 μm」が出てきたら高確率でPM2.5の話です。
- SPMの定義と取り違えていないか、必ずチェックしましょう。


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