
公害防止管理者の過去問|令和7年 ばいじん・粉じん特論 問7 問題と解説
問題7
障害物形式集じん装置の集じん率ηを表現する式として、正しいものはどれか。
ただし、c:装置で決まる定数、A:ダストが捕集される障害物の全表面積、V:障害物が充塡されている装置の体積、L:装置長さ、ηt:障害物1個当たりの捕集効率、である。

問題7の解答
正解は「2」です。
問題7の解説
障害物形式集じん装置(充填層・繊維層など)は、「多数の障害物(捕集体)が並んでいて、粒子が通過するたびに少しずつ捕集される」タイプです。このとき、粒子濃度は装置の長さ方向に指数関数的(exp)に減少する、いわゆる対数透過則(log-penetration law)で表せます。
大阪大学の学位論文でも、充てん層の入口からの距離に対する粒子濃度変化が微分方程式で表され、衝突効率(=ここでいう単一障害物捕集効率に相当)が一定なら「対数透過則が成り立つ」と記されています。この「微小区間での減り方が現在の濃度に比例する」形は、積分すると exp 型になります。
解答に至るまでのステップ
ステップ1:原理(対数透過則)を確認します
装置の長さ方向の微小区間 で、粒子濃度 が「一定割合だけ」減る(=捕集される)とすると、
となります。これは「濃度が高いほど、同じ距離で多く捕集される」という自然なモデルです(捕集機会が濃度に比例)。
両辺を積分すると、
したがって集じん率 は
になります。
ステップ2:この問題の記号で k を表します
この種の装置では、捕集の強さ は概ね次で決まります。
- 障害物の“密度”を表す 比表面積:(装置体積あたりの障害物総表面積)
- 障害物1個(1要素)あたりの捕集のしやすさ:
- 装置形状・流れなどをまとめた定数:
よって
とおけます。これを上の式へ代入すると、
となり、選択肢(2)と一致します。
ステップ3:各選択肢を“物理的におかしくないか”で判定します
- (2)
- AL/V は で無次元、exp の中身として自然。
- 長さ が長いほど、障害物表面積 が多いほど、捕集効率 ηt が高いほど 集じん率が上がる(直感どおり)。
→ 正しいです。
- (1)
- は で、通常は exp の中身として不自然。
- しかも A が大きいほど捕集が悪化する形になり、直感に反します。
→ 誤りです。
- (3)
- が小さい(捕集しにくい)ほど指数の絶対値が大きくなり、集じん率が上がるという逆転が起きます。
→ 誤りです。
- が小さい(捕集しにくい)ほど指数の絶対値が大きくなり、集じん率が上がるという逆転が起きます。
- (4)
- (1) 同様に次元がおかしく、が小さいほど集じん率が上がる逆転も起きます。
→ 誤りです。
- (1) 同様に次元がおかしく、が小さいほど集じん率が上がる逆転も起きます。
- (5)
- が長いほど指数の絶対値が小さくなり、長くすると捕集が悪くなる形で、物理直感と逆です。
→ 誤りです。
- が長いほど指数の絶対値が小さくなり、長くすると捕集が悪くなる形で、物理直感と逆です。
問題のポイント
- 障害物(捕集体)が多数ある装置は、「少しずつ捕集」→濃度は指数関数的に減少(対数透過則)という発想で式を組み立てます。
- exp の中身は基本的に無次元である必要があり、 のような形が自然です。


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