
公害防止管理者の過去問|令和7年 ばいじん・粉じん特論 問5 問題と解説
問題5
電気集じん装置での放電及び荷電に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 通常、負コロナの火花電圧は、正コロナのそれの約1/2である。
- 電気力線に沿って輸送されたイオンが粒子に付着する荷電を、電界荷電と呼ぶ。
- 電界荷電による粒子帯電量は、粒子径の2乗に比例する。
- 拡散荷電による粒子帯電量は、粒子径に比例する。
- 電界荷電による粒子帯電量は、電界強度に比例する。
問題5の解答
正解は「1」です。
問題5の解説
本問は、電気集じん装置(ESP)の コロナ放電の極性差 と、粒子の帯電機構である 電界荷電・拡散荷電の基本関係(粒径依存・電界依存)を正誤判定する問題です。
結論としては、正負の関係が逆で誤りです。環境省の技術マニュアルでは「正コロナの火花電圧は通常、負コロナの約1/2」と明記されています(つまり、負コロナの火花電圧の方が概ね高い)。
解答に至るまでのステップ
ステップ1:コロナ極性と火花電圧(フラッシオーバ電圧)の“公式記述”を確認します。
選択肢(1)は「負コロナの火花電圧が正コロナの約1/2」と述べていますが、環境省の「工業排ガス管理のための指導マニュアル」には、「正コロナの火花電圧Vs(+)は…通常、負コロナの約1/2」と記載されています。また、電気学会誌の解説でも、「負コロナ放電の火花フラッシオーバ電圧は、通常正コロナの2倍程度」とされ、同じ趣旨です。
したがって、(1)は 「負が1/2」ではなく、むしろ“正が1/2(=負が約2倍)”が一般的整理であり、(1)は誤りです。
ステップ2:電界荷電・拡散荷電の定義(用語)を突き合わせます。
(2)は「電気力線に沿って輸送されたイオンが粒子に付着する荷電=電界荷電」と述べています。学術資料では、単極性イオン場の輸送として「(1)電気力による電気力線に沿った輸送…(1)により…電界荷電」、「(2)熱拡散運動…(2)による場合を拡散荷電」と定義されています。よって (2)は正しいです。
ステップ3:粒径依存(“dの1乗か2乗か”)を、公式・学術記述で確認します。
(3)(4)は、帯電量の粒径依存を問うています。労働安全衛生総合研究所の研究報告では、「拡散荷電…前者は粒径に,後者(電界荷電)は粒径の2乗にほぼ比例」と明示されています。さらに、同趣旨の整理として、職業能力開発総合大学校(JEED系の公的機関資料)でも、「電界帯電の飽和帯電量は粒子半径の二乗に比例し,拡散帯電は粒子半径に比例」と記されています。
ここで、資料は「半径」で表現していますが、粒子直径 は半径 の2倍()です。
- なら (定数倍の違いだけ)
- なら
したがって、
- (3)電界荷電:粒子径の2乗に比例 → 正しい
- (4)拡散荷電:粒子径に比例 → 正しい
となります。
ステップ4:電界強度依存(Eに比例するか)を、式・記述で確認します。
(5)は「電界荷電による粒子帯電量は電界強度に比例する」と述べています。J-STAGE掲載の解説では、Pauthenier式(電界荷電)に触れたうえで、「電界荷電における飽和帯電量…は荷電電界強度Eに比例」と明示されています。よって (5)は正しいです。
以上より、誤っているのは(1)です。
問題のポイント
- 正負コロナの火花電圧の関係は、本問の最重要のひっかけです。環境省資料では「正コロナの火花電圧は通常、負コロナの約1/2」と整理されています。
- 電界荷電/拡散荷電の定義は、「電気力線に沿う輸送=電界荷電」「熱拡散=拡散荷電」という“輸送機構の違い”で押さえます。
- 粒径依存の定番:拡散荷電は概ね 粒径(1乗)、電界荷電は概ね 粒径の2乗。
- 電界依存の定番:電界荷電の飽和帯電量は 電界強度 E に比例します。


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