
公害防止管理者の過去問|令和6年 ばいじん・粉じん特論 問13 問題と解説
問題13
JISのダスト濃度測定に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 測定位置の条件を満たす鉛直と水平の直管部がある場合には、重力によるダスト濃度の偏りが少ない水平の直管部を測定位置として選択することが規定されている。
- 小規模ダクト(断面積0.25m2以下)の場合、測定断面中心の1点だけを測定点としてもよい。
- 平衡形自動試料採取装置には、動圧式と静圧式がある。
- 測定点における排ガスの流れ方向と吸引ノズルの方向との偏りは、10°以下とする。
- 湿式集じん装置の出口排ガス温度が100℃以下の場合、排ガス中の水分量は、その温度の飽和水蒸気圧から計算により求めてもよい。
問題13の解答
正解は「1」です。
問題13の解説
解答に至るまでのステップ
ステップ1 原理・原則(この問題で何を根拠に判断するか)
この設問は「JIS(ダスト濃度測定)で定める“測定のルール”として正しいか/誤りか」を問うています。したがって、まず JIS(排ガス中のダスト濃度の測定方法)に書かれている“規定そのもの”に照らして判断します。特に、本問の選択肢は、(a)測定位置の選び方、(b)測定点の取り方、(c)採取装置の分類、(d)ノズルの向き許容差、(e)水分量の扱い、という 手順・条件の規定が中心です。
ステップ2 各選択肢を「規定に書いてあるか(または書いてないか)」で判定する
1.(誤り)
「鉛直と水平の直管部がある場合には、重力による偏りが少ない水平の直管部を測定位置として選択することが規定」
JIS Z 8808の「5.1 測定位置」の規定は、屈曲部や断面急変部を避け、流れが比較的一様に整流され、作業が安全かつ容易な場所を選ぶという趣旨です。そこには「鉛直か水平かの優先」や「水平直管部を選べ」という規定は示されていません。
さらに、一般論として“重力沈降による偏り”は、むしろ水平ダクトの方が底部に粒子が沈みやすく、断面内分布が偏りやすいので、「水平の方が偏りが少ない」という説明自体も不自然です。
よって 「JISで水平直管部を選択すると規定されている」ことを前提にした本記述は誤りと判断します。
2.(正しい)
「小規模ダクト(断面積0.25m2以下)の場合、測定断面中心の1点だけを測定点としてもよい。」
JIS Z 8808の測定点の規定に、小規模ダクト(断面積0.25 m²以下)は中心点を測定点としてもよい旨の注記があります。したがって正しいです。
3.(正しい)
「平衡形自動試料採取装置には、動圧式と静圧式がある。」
JIS Z 8808では、平衡形自動試料採取装置の等速吸引部について、利用する圧力によって動圧式と静圧式に区別すると明記しています。したがって正しいです。
※用語補足:動圧=流れの速さに由来する圧力成分、静圧=流体が押す“静的な”圧力成分です(ピトー管等で測る概念)。
4.(正しい)
「測定点における排ガスの流れ方向と吸引ノズルの方向との偏りは、10°以下とする。」
JIS Z 8808「10.4 ダスト試料の採取」に、排ガス流れ方向と吸引ノズル方向の偏りは10°以下とする、と規定があります。したがって正しいです。
5.(正しい)
「湿式集じん装置の出口排ガス温度が100℃以下の場合、排ガス中の水分量は、その温度の飽和水蒸気圧から計算により求めてもよい。」
JIS Z 8808には水分量について「吸湿管による方法」だけでなく、水の飽和蒸気圧(Pv)を用いて水分を扱う考え方が示されています(式中でPvを“温度の水の飽和蒸気圧”として定義し、表で与える)。
湿式集じん装置出口で温度が低い場合、排ガスが水蒸気で飽和に近い状態になることは実務上よくあり、飽和水蒸気圧から水分を見積もるという扱いはJISの考え方とも整合的です。よって本選択肢は「明確に誤り」とは言えません。


コメント