公害防止管理者の過去問|令和6年 ばいじん・粉じん特論 問8  問題と解説

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問題8

洗浄集じん装置の性能に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. ベンチュリスクラバーでは、基本流速が大きいほど、微細なダストを捕集することができる。
  2. ため水式では、基本流速が小さいほど、集じん率は高くなる。
  3. スプレー塔では、液ガス比が大きいほど、集じん率は高くなる。
  4. 充塡塔では、充塡層内のガス流れが均一なほど、集じん率は高くなる。
  5. 回転式では、一般に回転数が大きいほど、集じん率は高くなる。

問題8の解答

正解は「2」です。

問題8の解説

本問は「洗浄集じん装置(湿式集じん装置)」の性能(集じん率)が、運転条件(流速、液量、接触状態、回転数など)でどう変わるかを問う問題です。

結論から言うと、ため水式は「洗浄水が微細化された部分で大きなガス流速をとれるため高い集じん率が得られる」タイプであり、“基本流速が小さいほど集じん率が高い”とは一般に言えません環境省資料でも、ため水式の高い集じん性能の理由として「大きなガス流速をとれる」点が明確に述べられています。

解答に至るまでのステップ

ステップ1 原理・原則(洗浄集じんが「なぜ捕れるか」)を確認します。

洗浄集じんは、含じんガス中の粒子(ダスト)を、液滴(ミスト)や液膜にぶつけたり付着させたりして捕集します。したがって性能を上げる基本は、以下のとおりです。

  • 液滴・液膜をたくさん作る(=粒子が当たる相手を増やす)
  • ガスと液の接触を良くする(=衝突・付着の機会を増やす)
  • ガス-液分離(デミスター等)を適切に行う(=捕まえた液滴を再飛散させない)
    という考え方です。

ステップ2 各選択肢を“性能が上がる方向の理屈”で正誤判定します。

1. ベンチュリスクラバー:基本流速が大きいほど、微細ダストを捕集できる。

正しい

ベンチュリスクラバーは、のど部でガスを高速化し、液を強くせん断して微細な液滴を作り、微粒子との衝突確率を上げます。環境省資料でも、のど部流速が 60~80 m/s と高く、高い集じん効率が得られ、約1 µm程度の粒子も捕集可能とされています。よって「流速が大きいほど微細粒子に有利」は妥当です。

2. ため水式:基本流速が小さいほど、集じん率は高くなる。

誤っている(本問の正解)

ここが誤りです。環境省資料では、ため水式の集じん性能について、「洗浄水が微細化された部分で大きなガス流速をとることができるので高い集じん率が得られる」と明確に述べています。つまり、ため水式は構造的に“流速を上げて(局所的に)液を微細化し、捕集効率を高める”方向の説明になっており、「流速が小さいほど高効率」という一般化は成り立ちません。

3. スプレー塔:液ガス比が大きいほど、集じん率は高くなる。

正しい

用語整理です。液ガス比(L/G)とは「ガス量に対して噴霧する液量の比」で、L/Gが大きいほど、一般に「液滴(衝突相手)が増える」かつ「接触機会が増える」ため、集じん率は上がりやすい、というのが基本方針です(ただし、水使用量増・圧力損失増・ミスト分離負荷増などのトレードオフはあります)。

洗浄集じんは「液滴や液膜を増やし接触を改善できるかが鍵」という原則に沿うため、この記述は妥当です。

4. 充填塔:充填層内のガス流れが均一なほど、集じん率は高くなる。

正しい

充填塔は充填材表面の液膜・液滴とガスを接触させる方式です。ガス流れが偏る(チャネリングする)と、接触していない“抜け道”ができ、衝突・付着機会が減ります。したがって「均一なほど効率が高い」は、洗浄集じんの原理(接触改善が鍵)に整合します。

5. 回転式:一般に回転数が大きいほど、集じん率は高くなる。

正しい
回転式は回転でガスと洗浄水を強く攪拌し、液滴・液膜を多量に作ります。環境省資料でも「回転翼の円周方向速度が速くなればなるほど集じん効率は高くなる」とされています。

問題のポイント

  • 洗浄集じんの本質は「粒子を液滴・液膜にぶつけて捕まえる」ことです。よって、性能は“どれだけ液滴・液膜を作れるか/接触を良くできるか”で上がりやすいです。
  • ベンチュリは高流速で液滴を微細化しやすく、微粒子に強い(高流速=高効率の典型)。
  • ため水式は「大きなガス流速をとれるから高効率」という説明が公的資料にあるため、「流速が小さいほど高効率」という断定は誤りになります。
  • 液ガス比(L/G)は「衝突相手(液滴)を増やす指標」。上げると効率は上がりやすいが、水量増・分離負荷増などのトレードオフもセットで覚えると実務的です。
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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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