
公害防止管理者の過去問|令和6年 ばいじん・粉じん特論 問2 問題と解説
問題2
集じん装置に対するダスト濃度の影響に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 重力集じん装置では、ダスト濃度が高いほど、一般に集じん率は向上する。
- サイクロンでは、ダスト濃度が高いほど、一般に集じん率は向上する。
- 実用化されている洗浄集じん装置においては、ダスト濃度が高くなると給水用スプレーノズルが詰まりやすくなる。
- バグフィルターでは、ダスト濃度が高くなると払い落とし回数が多くなるが、払い落とし回数の増加は、払い落とし方式によらず集じん率には影響しない。
- 電気集じん装置では、つち打ち回数は主としてダストの電気抵抗によって定まり、ダスト濃度にはあまり大きな影響を受けない。
問題2の解答
正解は「4」です。
問題2の解説
解答に至るまでのステップ
ステップ1 「ダスト濃度が集じん性能に与える影響」の原理を整理する
集じん装置では、ダスト濃度の増加が集じん率に与える影響は装置方式ごとに異なります。
一般論として、粒子同士の凝集・衝突が起こりやすい装置では、濃度が高いほど集じん率が向上しやすい。一方、ろ過・電気的作用・付着と除去のバランスで性能が決まる装置では、濃度増加が別の制約(目詰まり、払い落とし頻度など)を生じさせ、集じん率に影響する場合があります
この原理を前提に、各選択肢を検討します。
ステップ2 選択肢1~3の正誤判定
1. 重力集じん装置では、ダスト濃度が高いほど、一般に集じん率は向上する。
→ 正しいです。
重力集じん装置は沈降作用を利用します。ダスト濃度が高くなると粒子同士の衝突・凝集が起こりやすくなり、粒径が見かけ上大きくなるため、沈降しやすくなります。このため、一般に集じん率は向上する傾向があります。
2. サイクロンでは、ダスト濃度が高いほど、一般に集じん率は向上する。
→ 正しいです。
サイクロンでは遠心力による分離が支配的ですが、ダスト濃度が高い場合、粒子間衝突や凝集により有効粒径が増大し、分離されやすくなります。したがって、濃度増加により集じん率が向上する傾向は一般的に認められています。
3. 実用化されている洗浄集じん装置においては、ダスト濃度が高くなると給水用スプレーノズルが詰まりやすくなる。
→ 正しいです。
洗浄集じん装置(スクラバー等)では、循環水やスプレーノズルを用います。ダスト濃度が高いと、スラリー中の固形分が増加し、ノズル閉塞(詰まり)を起こしやすくなることは、運転管理上よく知られた事実です。
ステップ3 選択肢4・5を重点的に検討する(誤りの特定)
4. バグフィルターでは、ダスト濃度が高くなると払い落とし回数が多くなるが、払い落とし回数の増加は、払い落とし方式によらず集じん率には影響しない。
→ 誤りです。
前半の「ダスト濃度が高くなると払い落とし回数が多くなる」は正しいです。ダスト付着量が増えるため、圧力損失上昇を抑える目的で払い落とし頻度が増えます。
しかし、後半の「払い落とし回数の増加は、払い落とし方式によらず集じん率には影響しない」が誤りです。バグフィルターでは表面ろ過が支配的、ダストケーキが形成されている状態のほうが集じん率は高いため、払い落とし頻度や方式(逆洗式、パルスジェット式など)によって、ろ布表面のダストケーキ状態が変化し、集じん率に影響を及ぼします。
特に、頻繁な払い落としは、一時的に集じん率を低下させることがあります。したがって、この選択肢は誤りです。
5. 電気集じん装置では、つち打ち回数は主としてダストの電気抵抗によって定まり、ダスト濃度にはあまり大きな影響を受けない。
→ 正しいです。
電気集じん装置のつち打ち条件は、主に「ダストの電気抵抗」と「付着力・剥離性」によって決定されます。ダスト濃度自体よりも、ダストの電気的性質が支配的であるため、「濃度にはあまり大きな影響を受けない」という記述は妥当です。
問題のポイント
- ダスト濃度が高いほど必ず集じん率が上がるわけではない
- 重力・サイクロンでは「凝集効果」により集じん率向上
- 洗浄集じん装置では「運転トラブル(ノズル詰まり)」が問題
- バグフィルターは払い落とし条件・方式によって集じん率が変化する
- 「方式によらず影響しない」と断定する記述は要注意


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