公害防止管理者の過去問|令和5年 ばいじん・粉じん特論 問4  問題と解説

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問題4

バグフィルターで集じんする際、ダスト層の圧力損失がコゼニー・カルマンの式に従う場合の特性として、誤っているものはどれか。

  1. ダストの比表面積径が大きくなると、圧力損失は大きくなる。
  2. ダスト層の厚さが大きくなると、圧力損失は大きくなる。
  3. ダスト層の空隙率が大きくなると、圧力損失は小さくなる。
  4. ダストの密度が大きくなると、圧力損失は小さくなる。
  5. ガスの粘度が大きくなると、圧力損失は大きくなる。

問題4の解答

正解は「1」です。

問題4の解説

解答に至るまでのステップ

ステップ1 コゼニー・カルマンの式の「基本形」を確認する

このステップでは、「多孔質層(ダスト層)を層流でガスが通過するときの圧力損失」を表す代表式として、コゼニー・カルマン型の関係を確認します。教科書的には、圧力損失は粘度・層厚さ・空隙率・粒子表面積スケール・流速で決まる、というのが骨格です(多孔質体流れ/ろ過理論の標準的整理)。

代表的には、粒子径 dpd_pで書くと、次のように「粒子径の二乗が効く」形になります(定数は教科書により表現差がありますが、依存関係は同じです)。

ΔPμLu(1ε)2ε3dp2\Delta P \propto \mu \, L \, u \, \frac{(1-\varepsilon)^2}{\varepsilon^3 \, d_p^2}

ここで

  • ΔP\Delta P:圧力損失
  • μ\mu:ガス粘度
  • LL:ダスト層厚さ
  • uu:面速度(見かけ流速)
  • ε\varepsilon:空隙率
  • dpd_p​:粒子径(または粒子スケール)

です。

ステップ2 「比表面積径」の意味を整理し、圧力損失との関係を式で結びつける

ここが(1)の判断で最重要です。設問の(1)は「ダストの比表面積径」という、直感と逆になりやすい量を使っています。

比表面積径 dsd_sは、一般に「比表面積(単位体積当たり表面積)SvS_vSv​」と次の関係で定義されます。

ds=6Svd_s = \frac{6}{S_v}

つまり、比表面積径が大きいほど、比表面積 Svは小さい(=表面積が少ない、粗い粒子のイメージ)という関係です。

コゼニー・カルマンは SvS_vで書くと、

ΔPμLu(1ε)2ε3Sv2\Delta P \propto \mu \, L \, u \, \frac{(1-\varepsilon)^2}{\varepsilon^3}\, S_v^2

のように、比表面積の二乗に比例する形になります。ここに Sv=6/dsS_v = 6/d_sを代入すると、

ΔPμLu(1ε)2ε3(6ds)2\Delta P \propto \mu \, L \, u \, \frac{(1-\varepsilon)^2}{\varepsilon^3}\left(\frac{6}{d_s}\right)^2

したがって、

ΔP1ds2\Delta P \propto \frac{1}{d_s^2}

となり、結論ははっきりします。

  • 比表面積径が大きくなるほど、圧力損失は小さくなる。

よって、選択肢(1)の「比表面積径が大きくなると、圧力損失は大きくなる」は、増減方向が逆であり誤りです。

ステップ3 残りの選択肢が「コゼニー・カルマンの依存関係」と整合するか確認する

ここでは(1)以外が妥当かを、同じ依存関係で確認します。

  • (2)層厚さ LLが大きいほど ΔP\Delta Pは大きい:式で LLに比例するため正しい。
  • (3)空隙率 ε\varepsilonが大きいほど ΔP\Delta Pは小さい:ε3\varepsilon^3が分母なので、すき間が増えるほど圧損は下がり正しい。
  • (5)粘度 μ\muが大きいほど ΔP\Delta P は大きい:μ\mu に比例で正しい。
  • (4)密度について:ここは「何を一定として比較するか」で解釈が分かれます。
    バグフィルタの“ダスト層”の圧損は、現場的・試験的には「堆積粉じん量(質量/面積)が増えると圧損が増える」という形で整理され、質量一定なら密度が大きいほど層厚さが小さくなり圧損が下がる(=(4)は成り立つ)という整理がよく用いられます。一方、純粋に LLを固定して Kozeny–Carman の“層厚さ表現”だけを見ると密度は直接入らず、「密度で単独に断定しにくい」側面もありますが、本問が単一正解であること、かつ(1)が明確に逆方向であることから、誤りは(1)と判断するのが合理的です。

問題のポイント

この問題で受験者が最もつまずくのは、「比表面積径」という言葉に引っ張られて、“大きい=表面積が増える”と誤解してしまう点です。

実際は、比表面積径は ds=6/Svd_s=6/S_vのように定義されるため、大きいほど表面積(比表面積)は小さいという、直感と逆の量です。そこを取り違えると(1)を正しいと思い込んでしまいます。

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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