
公害防止管理者の過去問|令和3年 汚水処理特論 問3 問題と解説
問題3
凝集分離に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 水に懸濁している粒子のうち、大きさが0.1μm程度以上のものは凝集法を用いなくても普通沈殿や砂ろ過法で分離することができる。
- ジャーテストでは、薬品添加後1~5分たったら、攪拌(かくはん)羽根の回転数を下げる。
- 凝集剤の添加によって表面電荷を電気的に中和された粒子は互いに凝集してフロックを形成する。このとき凝集の速度は、単位体積中の粒子の個数が大きくなるほど増加する。
- 水平流形の凝集沈殿装置は、基本的にはフラッシュミキサー、フロキュレーターと沈殿池から構成されている。
- フロック形成の場において、径の大きい既成フロックを懸濁させておけば、粒子の接触による凝集反応の速度を上げることができる。
問題3の解答
正解は「1」です。
問題3の解説
凝集分離(凝集沈殿・凝集ろ過)は、小さすぎて自然には沈まない粒子(コロイド等)を、薬品でくっつけて大きな塊(フロック)にし、沈ませたり・ろ過で捕まえやすくする操作です。
この問題は、5つの文章のうち「凝集分離の常識」から外れているもの(誤り)を選ぶものです。
1 が誤りである理由(ここが本問の核心)
選択肢1はこう言っています:
0.1 μm 程度以上の粒子は、凝集法を使わなくても普通沈殿や砂ろ過で分離できる
しかし、0.1 μm(= 0.0001 mm)は非常に小さく、典型的には“コロイド”領域です。この領域の粒子は、電荷を帯びて水中で安定に分散しやすく、そのままではほとんど沈降しないため、凝集剤で不安定化(電荷中和など)させてフロック化しないと、沈殿・ろ過で十分に除去しにくい、というのが原則です。
- 水道技術研究センター(JWRC)の資料でも、凝集剤は「そのままでは沈降しないコロイド粒子(粒子径1 nm~1 μm)」の表面電荷を中和して、沈降できるフロックを作るものだと説明されています。
- また、水道施設設計指針でも、1 μm以下のコロイド粒子はほとんど沈降せず、急速ろ過でも捕捉しにくいので、凝集沈殿や急速ろ過で効果的に除去するために凝集が重要、という趣旨が示されています。
したがって、「0.1 μm程度以上なら凝集なしで沈殿・砂ろ過で分離できる」という言い方は不適切で、1が誤りです。
2~5が妥当である理由(要点のみ)
2.ジャーテストは、薬品添加後に「速い撹拌→遅い撹拌」が基本
ジャーテストは、まず薬品を水全体に素早く均一に混ぜ(急速撹拌)、その後フロックを壊さないようにゆっくり混ぜて成長させます(緩速撹拌)。実務資料の例でも「急速撹拌(例:1分)→緩速撹拌(例:10分)」という手順が示されています。よって、2は妥当です。
3.粒子数が多いほど、衝突が増え、凝集速度は上がりやすい
凝集は「粒子同士が出会って(衝突して)くっつく」現象なので、単位体積あたりの粒子数が増えるほど衝突頻度が上がり、凝集が進みやすいという考え方は基本的に正しいです(凝集沈殿の説明でも粒子間衝突が重要因子として扱われます)。
4.水平流形の凝集沈殿は「混和(急速)→フロック形成(緩速)→沈殿」の並びが基本
一般的な装置構成として、急速混和(フラッシュミキサー相当)、フロック形成(フロキュレーター相当)、沈殿池という流れで説明されます。よって、4は妥当です。
5.大きい既成フロックを入れると、接触(衝突)の機会が増え、凝集が進みやすい(接触凝集の考え方)
「大きい核(既成フロック)」があると、微粒子が接触しやすくなり、凝集が促進される、という考え方は実務・装置概念として一般に用いられます(接触凝集などの発想)。


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