
公害防止管理者の過去問|令和7年 水質概論 問6 問題と解説
問題6
水中の溶存酸素に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 純水の飽和溶存酸素濃度は、1気圧、水温20℃で約9mg/Lである。
- 純水の飽和溶存酸素濃度は、水温が低いほど高くなる。
- 水中に酸素が溶け込むルートは、水面を通して大気から溶け込むものと、水中の動物プランクトンから供給されるものが主なものである。
- 閉鎖性水域の底層水の溶存酸素濃度は有機汚濁の程度の指標となる。
- 閉鎖性水域の底層において、溶存酸素濃度が極めて低くなると、硫化水素やアンモニアなどの悪臭物質が発生し、また一部の重金属類が溶出しやすくなる。
問題6の解答
正解は「3」です。
問題6の解説
溶存酸素(DO:Dissolved Oxygen)は、水生生物の呼吸や有機物分解などで消費される一方、主に (A)大気からの溶け込み(再曝気) と (B)水中の光合成(植物プランクトン・水草等) により供給されます。この基本に照らすと、設問3が誤りだと判断できます。
1. 純水の飽和溶存酸素濃度は、1気圧、水温20℃で約9mg/Lである。
正しい。淡水(純水に近い条件)の飽和DOは、20℃・海面気圧付近で 約9 mg/L(約9.1 mg/L程度) が標準的な値として示されています。
2. 純水の飽和溶存酸素濃度は、水温が低いほど高くなる。
正しい。気体の溶解度は一般に水温が低いほど大きくなるため、飽和DOは低温ほど高くなります(高緯度・低水温域で酸素量が多くなりやすい、という説明も一致)。
3. 水中に酸素が溶け込むルートは、水面を通して大気から溶け込むものと、水中の動物プランクトンから供給されるものが主なものである。
誤り(本問の正答)。大気からの溶け込み(再曝気)は主要ルートで正しい。しかし、もう一つの主要な供給源は 「動物プランクトン」ではなく、植物プランクトンや水草などの“光合成” です。動物プランクトンはむしろ呼吸によりDOを消費する側に位置づけられます。
よって、「動物プランクトンから供給される」が誤りです。
4. 閉鎖性水域の底層水の溶存酸素濃度は有機汚濁の程度の指標となる。
正しい。閉鎖性水域の底層では、成層により酸素が供給されにくい一方、沈降した有機物が分解される過程(微生物活動等)で酸素が消費され、貧酸素化が進行しやすくなります。
底層DOは、有機物負荷・分解に伴う酸素消費の反映として、有機汚濁(有機物による水質悪化)を読み取る重要な指標として扱われます。
5. 閉鎖性水域の底層において、溶存酸素濃度が極めて低くなると、硫化水素やアンモニアなどの悪臭物質が発生し、また一部の重金属類が溶出しやすくなる。
正しい。環境省の技術資料では、底層の貧酸素化により メタン・硫化水素 などの発生や、還元性重金属の発生(溶出・可溶化の進行) がみられることがあると整理されています。
アンモニアについても、無酸素~還元的条件下で窒素の形態が変化し、底層で蓄積・悪臭問題になり得る、という実務的理解と整合します。
問題を解くポイント
- DOの「供給源」を二本柱で覚える
- 大気からの再曝気
- 植物プランクトン・水草等の光合成
「動物プランクトン」は供給源ではなく、基本は“呼吸で消費側”です。
- 閉鎖性水域の底層DO=有機物分解による酸素消費の結果
成層で酸素が届きにくい+有機物分解で酸素が減る、という因果を押さえると、選択肢4・5は迷いにくくなります。 - 貧酸素が進むと“還元的”になり、臭気・溶出が出やすい
硫化水素等の発生、還元性重金属の挙動は典型論点です。


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