
公害防止管理者の過去問|令和5年 水質概論 問7 問題と解説
問題7
大腸菌数に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 大腸菌数は、大腸菌群数に比べ、より的確なふん便汚染の指標である。
- 水質環境基準の生活環境項目で、大腸菌群数に加えて、新たに大腸菌数が追加された。
- 水環境中において、大腸菌群が多く検出されていても、大腸菌が検出されない場合があった。
- 大腸菌数に用いられる単位のCFUは、Colony Forming Unitの略である。
- 自然環境保全を利用目的とする場合の水質環境基準値は、20CFU/100mL以下である。
問題7の解答
正解は「2」です。
問題7の解説
この問題は、令和4年(2022年)に行われた水質環境基準(生活環境項目)の改正内容を正確に把握しているかを問うものです。誤っている記述は 「2」 です。
選択肢2では、「大腸菌群数に加えて、新たに大腸菌数が追加された」としていますが、これは事実と異なります。環境省による見直しの結論は、「大腸菌群数を項目から削除し、新たに大腸菌数を追加する」というものです。
つまり、両者が並列して存在する「併存」ではなく、指標の「入れ替え(置換)」が行われました。
※大腸菌群数は、ふん便由来でない菌も検出してしまうため、より的確な指標である大腸菌数へ完全に切り替えられました。
- 根拠: 環境省「生活環境の保全に関する環境基準(生活環境項目)の一部改正等について」
- URL: https://www.env.go.jp/press/110052.html
- 1. 正しい記述です(指標の的確性)
- 大腸菌群数は、土壌や植物など自然界に存在する菌も含んでしまうため、必ずしもふん便汚染を正確に反映しません。一方、大腸菌(E. coli)はふん便に特異的に存在するため、より的確な汚染指標となります。
- 根拠URL: https://www.env.go.jp/press/press_02672.html
- 3. 正しい記述です(乖離現象)
- 環境省の検討資料において、実際のフィールドデータとして「大腸菌群数は多く検出されているのに、大腸菌(ふん便汚染)は検出されない」という乖離事例が報告されています。これが改正の大きな動機の一つです。
- 根拠URL: https://www.env.go.jp/content/000121434.pdf
- 4. 正しい記述です(単位の定義)
- 環境基準の備考欄において、CFUは Colony Forming Unit(コロニー形成単位) の略であることが明記されています。培養して形成された集落(コロニー)の数を数える測定法に由来します。
- 根拠URL: https://www.env.go.jp/hourei/add/e79.pdf
- 5. 正しい記述です(基準値)
- ここが難関ですが、新しい環境基準では利用目的ごとに細かく数値が設定されています。
- 最も清浄な水質が求められる「自然環境保全」を利用目的とする河川(AA類型)などの基準値は、20CFU/100mL以下と定められています。(※水浴利用などが含まれるA類型などは 100CFU/100mLです)。
- 根拠URL: https://www.env.go.jp/hourei/add/e79.pdf
問題を解くポイント
この問題で押さえるべき「改正の3大ポイント」は以下の通りです。
- 「追加」ではなく「置換」
- 大腸菌群数はクビになり、大腸菌数が採用されました。「加えて」という言葉に騙されないようにしましょう。
- AA類型は「20」
- 最も厳しい基準(自然環境保全)は 20CFU/100mL以下です。「100」という数字も出ますが、それは一つ下のランク(A類型など)や水浴基準です。「自然環境=20」とセットで覚えましょう。
- 大腸菌群数は「冤罪」を生む
- 汚れていないのに「汚れている(大腸菌群数が多い)」と判定されてしまう欠点があったため、改正されたという背景(ストーリー)を理解しておきましょう。


コメント