
公害防止管理者の過去問|令和5年 水質概論 問6 問題と解説
問題6
過去3年間(平成30年度~令和2年度)の公共用水域の水質の環境基準(健康項目)に関する記述として、誤っているものはどれか(環境省:公共用水域水質測定結果による)。
- 環境基準の達成率は、99%以上であった。
- 非達成率の高い上位2項目は、ふっ素とひ素であった。
- 超過地点を水域別にみると、大半が海域であった。
- カドミウム、鉛、ひ素の環境基準超過の原因の一つとして、休廃止鉱山廃水が考えられる
- 環境基準超過の主な原因は、ふっ素の場合、自然由来と考えられる。
問題6の解答
正解は「3」です。
問題6の解説
健康項目(カドミウム、全シアン、鉛、ひ素、ふっ素など)において、環境基準を超過している地点の大半は「河川」です。環境省が公表しているデータ(例:令和元年度結果)を見ると、環境基準を超過した地点数の内訳は以下の傾向にあります。
- 河川:圧倒的に多い(全体の8割~9割程度)
- 湖沼:少ない
- 海域:少ない
健康項目の超過原因の多くは、後述するように「自然由来(火山・温泉地帯)」や「休廃止鉱山」からの排水です。これらは山間部に源流があることが多く、そこから流れ出る「河川」の上流・中流地点でまず基準超過として検出されます。海に到達する頃には希釈されたり拡散したりするため、地点数としては河川が圧倒的に多くなるのです。
※一方で、BODやCODなどの「生活環境項目(有機汚濁)」については、汚れが溜まりやすい「湖沼」や「閉鎖性海域」での非達成率が高くなります。ここを混同しないようにしましょう。
- 1. 正しい記述です
- 健康項目の達成率は、長年99%以上(99.1%~99.2%程度)の高い水準で推移しており、日本の水質管理は非常に優秀です。
- 2. 正しい記述です
- 達成率99%の中で、わずかに基準を超えているものの内訳(超過地点数)を見ると、「ひ素」と「ふっ素」(および「ほう素」)が常に上位を占めています。
- 4. 正しい記述です
- カドミウム、鉛、ひ素などは、かつて金属鉱山として栄えた場所(現在は閉山した休廃止鉱山)の坑道から出る水に含まれていることがあり、これが超過原因の一つとして報告されています。
- 5. 正しい記述です
- ふっ素、ひ素、ほう素は、日本のような火山国では地質的に多く含まれています。工場排水の影響がない場所でも検出される場合、その主な原因は「自然由来(地質、温泉水など)」と判断されます。
問題を解くポイント
この問題を解く鍵は、以下の「健康項目 vs 生活環境項目」のトレンドの違いを明確に区別することです。
| 特徴 | 健康項目 (重金属など) | 生活環境項目 (BOD/CODなど) |
| 達成率 | 非常に高い (99%以上) | まだ改善の余地あり (特に湖沼) |
| 主な超過場所 | 河川 (全体の約9割) | 湖沼 (水が溜まる場所) |
| 主な原因 | 自然由来 (火山・温泉)、鉱山 | 生活排水、産業排水、富栄養化 |
| 代表的な超過物質 | ひ素、ふっ素、ほう素 | COD (湖沼)、全窒素・全燐 |
- 「毒(健康項目)は山(河川)から来る(自然・鉱山)。」
- 「汚れ(生活環境項目)は池(湖沼)に溜まる。」
このイメージを持っていれば、「大半が海域」という選択肢を見た瞬間に、「いやいや、重金属は川で出るもんだよ」と即座に判断できます。


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