
公害防止管理者の過去問|令和3年 大規模水質特論 問3 問題と解説
問題3
海洋生態系モデルにおける植物プランクトンの増殖速度の算出方法に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 最大可能増殖速度は、生理学的Q10値を用いて塩分の関数として計算することができる。
- 水中での光強度の減衰は、ランバート-ベールの法則に従う。
- 強光条件下では、光合成がしばしば阻害されるため、これを考慮した光合成-光曲線の式が提案されている。
- 栄養塩の摂取は、ミハエリス-メンテンの式で記述できる。
- 栄養塩の摂取については、制限の強い栄養塩濃度を選んで計算する。
問題3の解答
正解は「1」です。
問題3の解説
①は「Q10の使い道」を完全に取り違えています。Q10は 温度の話 であって、塩分の話ではありません。植物プランクトンが増える速さは、モデルの中ではだいたい次の考え方で決まります。
「本来出せる最大スピード」
× 光がどれくらい足りているか
× 栄養がどれくらい足りているか
×(温度の影響)
この中で今回の問題は、 「その計算のしかた、ちゃんと合ってますか?」を聞いています。
解答に至るまでにステップ
ステップ1 Q10って、そもそも何?
ここが①を見抜く最大のポイントです。
Q10(キューテン)とは、「温度が10℃上がったときに、生物の反応が何倍になるか」を表すための数字です。たとえば、水温が10℃上がる、すると成長や呼吸が2倍になる。このとき Q10=2。
👉Q10は「温度専用」の考え方です。
ステップ2 ①は、どこがおかしい?
①の文章を見てみます。
最大可能増殖速度は、生理学的Q10値を用いて塩分の関数として計算することができる。
ここで違和感に気づければ勝ちです。
- Q10 → 温度の話
- 塩分 → しょっぱさの話
👉 話題がズレています。
塩分が生物に影響することはありますが、それを Q10で表す というのは、モデルの基本的な使い方として間違いです。だから①は誤りです。
ステップ3 他の選択肢は「教科書どおり」
② 光は深くなるほど弱くなる→ 水の中では光がだんだん減る(ランバート–ベールの法則)
✔ 正しい
③ 光が強すぎると逆に光合成が落ちる→ 日差しが強すぎると植物が弱るのと同じ
✔ 正しい
④ 栄養は「ある程度で頭打ち」→ お腹いっぱい以上は食べられない(ミハエリス–メンテン)
✔ 正しい
⑤ 一番足りない栄養が成長を決める→ バケツの一番短い板の話(最小律)
✔ 正しい
問題のポイント
この問題は、「Q10=温度」これだけ覚えていれば一瞬で解けます。①は専門用語が多くて、一番それっぽく見えるのが罠です。Q10が出てきたら、必ず「温度10℃」と結びついているかを確認する。塩分・光・栄養と結びついていたら疑う。


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