公害防止管理者の過去問|令和7年 ばいじん・粉じん特論 問8  問題と解説

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問題8

充塡層式の洗浄集じん装置はどれか。

  1. スプレー塔
  2. ベンチュリスクラバー
  3. ジェットスクラバー
  4. サイクロンスクラバー
  5. 流動層スクラバー

問題8の解答

正解は「5」です。

問題8の解説

解答に至るまでのステップ

ステップ1:この問題で問われている法令・概念・現象を特定する

問われているのは「洗浄集じん装置(スクラバー)」のうち、“充填層式(=塔内に充填材(粒状の媒体)からなる層を設け、そこに洗浄液(水膜など)を形成して気液接触させる方式)”に該当する装置の識別です。この分類は、法律の条文で機種名まで規定するというより、国家試験で使う「公害防止技術(ばいじん・粉じん処理)」の標準的な工学分類(湿式=洗浄式集じん装置の形式)として扱われます。

ステップ2:その正しい定義・原則を、公的資料を用いて確認する
ここでは「洗浄集じん装置の形式」と「充填塔(充填層)」の“構造上の決め手”を一次情報で押さえます。

  1. 洗浄集じん装置(スクラバー)の位置づけ(形式の一群)

環境省の資料(工業排ガス管理のための指導マニュアル)では、加圧水式洗浄集じん装置の方式としてベンチュリスクラバー、ジェットスクラバー、サイクロンスクラバー、各種充填塔、スプレー塔等を列挙しています

─ 資料名:工業排ガス管理のための指導マニュアル(資料1)
発行主体:環境省
URL:https://www.env.go.jp/air/tech/ine/asia/vietnam/files/coop/files/cobenefit2016J-2.pdf

  1. 「充填塔(=充填層を持つ塔)」の構造的特徴(“充填層”があることが判定基準)

同マニュアルには「充填塔」について、充填材充填層・性能が充填層厚さ等に依存すること、さらに充填層にダストが詰まる(目詰まり)という構造起因の特徴が明記されています。

─ 資料名:同上(工業排ガス管理のための指導マニュアル)
発行主体:環境省
URL:同上

  1. 補助(第三者検証できる公的研究機関の解説)

国立環境研究所(NIES)の解説でも、洗浄式集じん装置(加圧水型)の代表例として 噴霧塔(スプレー塔)、充填塔、ベンチュリースクラバーが整理されています。

─ 資料名:ばいじん除去技術(環境技術解説)
発行主体:国立環境研究所(NIES)
URL:https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=34

ステップ3:定義・原則と照らし合わせて各選択肢を検証する
ここからは、各選択肢が「充填層(充填材層)をもつ方式か?」で機械的に判定します。

  • (1) スプレー塔
    • 定義との照合:NIESはスプレー塔を「噴霧塔(スプレー塔)」として整理し、充填塔(充填層方式)とは別の形式として並列に扱っています。よって「充填層式」ではありません。
  • (2) ベンチュリスクラバー
    • 定義との照合:環境省マニュアルは「加圧水式洗浄集じん装置」の一方式としてベンチュリスクラバーを挙げ、別途「充填塔」を独立に説明しています。つまり、ベンチュリ=充填層方式ではない(原理が“充填層”ではなく“高速・衝突”側)と判定できます。
  • (3) ジェットスクラバー
    • 定義との照合:環境省マニュアルはジェットスクラバーを加圧水式の一方式として列挙し、「充填塔(充填層)」とは別扱いです。よって、充填層式ではありません
  • (4) サイクロンスクラバー
    • 定義との照合:環境省マニュアルはサイクロンスクラバーを加圧水式の一方式として列挙し、「充填塔(充填層)」とは別の形式として整理しています。よって、充填層式ではありません
  • (5) 流動層スクラバー
    • 定義との照合:この設問のキーワードは「充填層式」であり、環境省・NIESが代表例として明示する“充填層方式”の典型名は「充填塔」です(スプレー塔やベンチュリ等と区別)。ただし、選択肢の中で“装置内部に粒状媒体の層(=充填材層に相当する層)を持つことが名称から確定できるのは「流動層スクラバー」だけです。一方、他の4つは「噴霧(スプレー)」「のど部高速化(ベンチュリ)」「ジェット」「旋回(サイクロン)」という“流体挙動で液滴を作って衝突させる”側の方式名で、名称から「充填層(充填材層)」の存在が導けません。

よって、試験問題としての識別(名称→構造)に従うと、充填層(粒状媒体の層)を使う方式=流動層スクラバーを選ぶのが再現性の高い解法になります。

※「流動層」そのものが粒子群の“層”として扱われる工学概念であることは、学術的にも確立した定義です(例:気体–固体系流動層は粒子濃度の高い連続相(層)と気泡等からなる、など)。

─ 参考(学術一次情報の例):鉄と鋼掲載論文PDF(流動層の概念説明)
発行主体:学協会誌(査読付き)
URL:https://tetsutohagane.net/articles/search/files/60/10/KJ00003584303.pdf

ステップ4:条件に合致する/しない理由を明確にし、結論を示す

  • 「充填層式」の判定基準は、環境省資料が明確に扱う「充填塔=充填層をもつ方式」という整理(充填層・充填材・目詰まり等の構造特徴の明示)により、“装置内部に充填材層(充填層)を持つ方式”であることです。選択肢のうち、この基準に合う“層(媒体層)を使う”ことが名称から特定できるのは 流動層スクラバーのみ。したがって解答は 流動層スクラバーです。

問題のポイント

なお、実務・教科書レベルでは「充填塔(packed tower)」が“充填層式”の代表名として最も直接的ですが、本問の選択肢には「充填塔」がありません。その場合は、「層(媒体層)」を明示する名称(流動層を手がかりに同定する、というのが国家試験向けに最も再現性が高い解法です。

この種の問題は「性能」ではなく「装置名→構造(どこで気液接触するか)」の対応を問います。

再利用できる判定軸は次の1本です。充填層式か?=「塔内に充填材からなる層(充填層/媒体層)があるか」それ以外(スプレー、ベンチュリ、ジェット、サイクロン)は、名称が示す通り主に液滴化・衝突・旋回・高速化で捕集する“非充填層”側の方式です(環境省・NIESの整理で充填塔と並列に列挙される)。

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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