
公害防止管理者の過去問|令和5年 ばいじん・粉じん特論 問9 問題と解説
問題9
バグフィルターにおけるダストの払い落としに関する記述として、誤っているものはどれか。
- 一般に払い落とし直後の集じん率は、直前のそれに比べて低い。
- 連続式払い落とし方式では、ダストの清浄ガス中への逸出が起きることがある。
- パルスジェット形払い落とし方式は、内面ろ過式に用いられる。
- 振動形払い落とし装置では、振動数が大きいと微細ダストの剥離に逆効果となることがある。
- 逆圧方式は、剥離性のよいダストに用いられる。
問題9の解答
正解は「3」です。
問題9の解説
この問題は、バグフィルター(ろ過集じん器)の「集じん原理」と「様々な払い落とし方式の特徴」に関する総合的な知識を問うものです。 選択肢を一つずつ丁寧に読み解き、「なぜその記述が正しいのか(あるいは誤っているのか)」を判断していくことで、確実に正解にたどり着けます。
解答に至るまでのステップ
ステップ1 【選択肢1】 集じん率の変化(一次付着層)を確認する
まず、選択肢1の「払い落とし直後の集じん率は低い」という記述を検証します。
- 原理の確認: 環境省の技術マニュアルや公式テキスト等の定義において、バグフィルターは「ろ布そのもの」よりも、ろ布表面に堆積したダストの層(一次付着層)が、実際のフィルターとして微細な粉じんを捕集するとされています。
- 判定: 払い落とし(クリーニング)直後は、この重要な「一次付着層」が取り除かれた状態です。そのため、一時的に捕集性能(集じん率)は低下します。 よって、選択肢1は「正しい」記述です。
ステップ2 【選択肢2】 連続式のデメリット(再飛散)を確認する
次に、選択肢2の「連続式払い落とし方式では逸出が起きる」という記述を検証します。
- 現象の整理: 「連続式」とは、集じん機の運転(ガスの吸引)を止めずに、区画ごとに順番に払い落としを行う方式です。
- 判定: ガスが流れている状態でダストを払い落とすと、落下中のダストが再びガスの流れに乗ってしまい、隣のろ布に再付着したり、そのまま出口側へ漏れ出たり(逸出)するリスクがあります。 よって、選択肢2は「正しい」記述です。
ステップ3 【選択肢3】 パルスジェットとろ過方式の組み合わせを確認する
続いて、選択肢3の「パルスジェット形は内面ろ過式に用いられる」という記述を検証します。ここが最大のポイントです。
- 構造の照合:
- パルスジェット形: 圧縮空気を一瞬噴射し、ろ布を内側から外側へ膨らませて衝撃を与え、ダストを落とす方式です。
- 内面ろ過式: ダストがろ布の内側に溜まる方式です。
- 判定: もし「内面ろ過(内側にダスト)」の状態で、パルスジェット(内側から膨らませる)を行うとどうなるでしょうか? ダストは膨らんだろ布に押し付けられ、繊維の中に食い込んでしまいます。ダストを振り落とすためには、ダストは外側に付いていなければなりません。
- つまり、パルスジェットは「外面ろ過式」に用いられるのが鉄則です。 よって、選択肢3は「誤り」です。(これが正解の選択肢となります)
ステップ4 【選択肢4・5】 その他の方式の特性も念のため確認する
試験本番ではステップ3で確定できますが、念のため残りの選択肢も検証し、ミスの可能性を排除します。
- 選択肢4(振動形)の検証: 振動形はろ布を揺らしてダストを落としますが、振動数(揺れの速さ)を上げすぎると、ろ布だけが細かく震えてしまい、慣性の法則によりダストがその場に留まろうとするため、逆に落ちにくくなることがあります。よって、記述は「正しい」です。
- 選択肢5(逆圧方式)の検証: 逆圧方式は、ガスの流れを逆転させてろ布をゆっくりたわませる、非常に穏やかな洗浄方法です。パルスジェットのような強力な力がないため、粘着性がなくサラサラと落ちやすい(剥離性のよい)ダストに適しています。よって、記述は「正しい」です。
以上の検証プロセスにより、誤っているのは確実に 3 であると判断できます。
問題のポイント
- 誤答選択肢が正しそうに見える理由: 選択肢3は「パルスジェット」と「内面ろ過」という専門用語をさらっと繋げているため、構造を具体的にイメージしていないと、違和感を持てずにスルーしてしまいがちです。
- 受験者が陥りやすい具体的な思考の流れ: 「選択肢4の『振動数が大きいと逆効果』って本当かな?物理的にどうなんだろう?」と、細かい挙動の方に気を取られて悩み、明らかな構造矛盾である選択肢3を見落としてしまうケースです。
- 本番での見分け方: 「パルスジェットは袋を膨らます ⇒ ゴミが中(内面)にあったら食い込む ⇒ だから外(外面)のゴミ用」 という理屈で判断すれば、暗記に頼らず見抜けます。


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