公害防止管理者の過去問|令和5年 ばいじん・粉じん特論 問8  問題と解説

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問題8

バグフィルター用のろ布に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 織布の空隙率は、不織布のそれより小さい。
  2. 長繊維製のものは、短繊維製のものより付着性ダストの剥離性がよい。
  3. 未使用フィルターの部分集じん率は、運転時の払い落とし直後のフィルターのそれより低い。
  4. 常用耐熱温度は、パイレン製よりアクリル製が高い。
  5. 耐酸性は、アクリル製よりナイロン製が高い。

問題8の解答

正解は「5」です。

問題8の解説解答

この問題は、バグフィルター(ろ過集じん器)に使用される「ろ布(フィルター)」の物理的構造と素材の化学的性質を正しく理解しているかを問うものです。特に、繊維素材ごとの「熱」や「薬品(酸・アルカリ)」への耐性は、実務においても適切なフィルターを選定するために必須の知識となります。

解答に至るまでのステップ

ステップ1 ろ布の「物理的構造」と「集じん原理」を確認する

まず、選択肢1~3に関わる「ろ布の構造」と「ホコリが取れる仕組み」について確認します。ここでは、日本産業機械工業会などが発行する標準的な集じん装置の技術資料や、公害防止管理者の公式テキスト(産業環境管理協会発行)における定義に基づき判断します。

  • 織布(しょくふ)と不織布(ふしょくふ)の違い(選択肢1関連):
    • 織布は、縦糸と横糸を規則正しく織ったものです。糸同士の目が詰まっているため、全体的な隙間(空隙率)は低くなります。
    • 不織布(フェルト)は、繊維を織らずにランダムに絡み合わせたものです。三次元的に繊維が重なり合っているため、厚みがあり、全体として非常に多くの隙間(高い空隙率)を持っています。
  • 長繊維と短繊維の違い(選択肢2関連):
    • 長繊維(フィラメント)は、絹やナイロンの釣り糸のように長く連続した一本の繊維です。表面が滑らかであるため、付着したダストを払い落とす際、ダストが剥がれやすい(剥離性がよい)性質があります。
    • 短繊維(スパン)は、短い綿のような繊維を撚り合わせたものです。表面が毛羽立っているため、ダストの捕集性能は高いですが、逆に払い落としにくい性質があります。
  • 一次付着層の役割(選択肢3関連):
    • バグフィルターは、新品のろ布そのものの目(隙間)よりも、実は細かいダストを捕集します。これは、運転開始後にろ布の表面に堆積したダストの層(一次付着層)が、新たなフィルターとして機能するためです。
    • したがって、まだ一次付着層が形成されていない「未使用(新品)」の状態よりも、運転して払い落としを行った直後(繊維の中にダストが残っている状態)の方が、集じん率(ゴミを取る能力)は高くなります。

ステップ2 主要な繊維素材の「耐熱性」と「耐薬品性」を整理する

次に、選択肢4、5に関わる繊維素材の化学的性質を整理します。これは暗記が必要な項目ですが、以下のように素材の特性として整理できます。

  • 耐熱性(選択肢4関連):
    • ポリプロピレン(パイレン): 耐熱温度は約90℃程度と低く、高温には適しません。
    • アクリル: 耐熱温度は約130℃程度あり、パイレンより高温に耐えられます。
  • 耐酸性と耐アルカリ性(選択肢5関連):
    • ナイロン(ポリアミド): 酸に弱く、酸性ガスに触れると劣化します。一方で、アルカリには強い性質があります。
    • アクリル: 酸に強く、酸性の排ガス処理によく用いられます。一方で、アルカリにはやや弱い性質があります。

ステップ3 選択肢の記述と整理した内容を照らし合わせて判断する

ステップ1とステップ2で整理した知識をもとに、各選択肢の正誤を判定します。

  1. 「織布の空隙率は、不織布のそれより小さい。」
    • ステップ1で確認した通り、不織布の方が隙間が多い(空隙率が大きい)ため、織布の方が小さいといえます。これは正しい記述です。
  2. 「長繊維製のものは、短繊維製のものより付着性ダストの剥離性がよい。」
    • ステップ1で確認した通り、表面が滑らかな長繊維の方が、ダストが剥がれやすいです。これは正しい記述です。
  3. 「未使用フィルターの部分集じん率は、運転時の払い落とし直後のフィルターのそれより低い。」
    • ステップ1で確認した通り、ダストの層(一次付着層)がない新品の方が性能は低くなります。これは正しい記述です。
  4. 「常用耐熱温度は、パイレン製よりアクリル製が高い。」
    • ステップ2で確認した通り、パイレン(90℃)< アクリル(130℃)です。これは正しい記述です。
  5. 「耐酸性は、アクリル製よりナイロン製が高い。」
    • ステップ2で確認した通り、ナイロンは酸に弱く、アクリルは酸に強い素材です。したがって、「ナイロンの方が高い」とする記述は誤りです。正しくは「アクリル製よりナイロン製が低い」となります。

以上より、誤っている選択肢は 5 と判断できます。

問題のポイント

この問題は、バグフィルターに関する知識の中でも「素材特性の暗記」が合否を分けるポイントになります。

  • 誤答選択肢が正しそうに見える理由: ナイロンは衣類やカバンなどに使われ「丈夫な素材(摩耗に強い)」というイメージがあるため、なんとなく「酸にも強そう(耐酸性が高い)」と誤解しがちです。
  • 受験者が陥りやすい思考: 物理的な特徴(選択肢1~3)で悩みすぎてしまい、知識があれば即答できる化学的特徴(選択肢4, 5)まで頭が回らなくなることがあります。
  • 本番での見分け方: 「ナイロンは酸で溶ける(ストッキングに酸がかかるイメージ)」、「アクリルは酸に強い」という対比を必ず覚えておき、素材の設問が出たら真っ先にチェックしましょう。

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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