
公害防止管理者の過去問|令和5年 ばいじん・粉じん特論 問5 問題と解説
問題5
集じんに関連する無次元数の組合せのうち、どちらもダストの粒子径の2乗に比例する組合せはどれか。
- レイノルズ数と遮りパラメータ
- レイノルズ数と重力パラメータ
- 遮りパラメータとストークス数
- 重力パラメータと遮りパラメータ
- 重力パラメータとストークス数
問題5の解答
正解は「5」です。
問題5の解説
本問は、集じん理論で用いられる代表的な無次元数が、粒子径 に対してどのような依存性をもつかを理解しているかを問う概念問題である。数式を暗記していなくても、「どの物理現象を表す指標か」「粒子径がどのように効いてくるか」を一つずつ整理すれば、再現性をもって解答できる。
解答に至るまでのステップ
ステップ1 各無次元数の定義と物理的意味を確認する
このステップでは、問題に挙げられている レイノルズ数、ストークス数、重力パラメータ、遮りパラメータ が、それぞれ何を表す指標なのかを確認する。
これらは集じん装置の理論(慣性衝突、重力沈降、遮り効果など)を整理するために導入されており、定義式は 集じん工学の教科書(例:環境工学・大気汚染防止工学)やJIS解説、環境省関連資料で共通して示されている。
代表的な意味は以下のとおりである。
- レイノルズ数は流体の慣性力と粘性力の比を示す指標であり、主として流体条件(流速、粘度、代表長さで決まる。
- ストークス数は粒子の慣性の大きさを表す指標で、粒子径の2乗に比例する項を含む。
- 重力パラメータは、粒子の重力沈降の影響を表す指標で、沈降速度が粒子径の2乗に比例することから、粒子径の2乗に比例する。
- 遮りパラメータは、流線に沿った粒子が捕集体に「物理的に接触して捕集される効果」を表し、粒子径に一次比例する。
これらの定義は、集じん理論の標準的整理として学術的に確立している。
ステップ2 粒子径 への依存性を整理する
次に、それぞれの無次元数が粒子径に対してどのように依存するかを整理する。
レイノルズ数は、代表長さとして捕集体径や流路寸法を用いるため、粒子径そのものには依存しない。遮りパラメータは、粒子径と捕集体径の比として定義されるため、粒子径に一次比例する。
一方、ストークス数は粒子の質量(体積)と沈降・慣性効果を反映するため、粒子径の2乗に比例する。
重力パラメータも、ストークスの沈降速度式に基づき、粒子径の2乗に比例する。
この整理は、ストークスの法則や重力沈降理論(環境工学・流体力学の基礎理論)を根拠として確認できる。
ステップ3 「粒子径の2乗に比例するもの同士」を選択肢と照らし合わせて判断する
ここまでの整理から、粒子径の2乗に比例する無次元数はストークス数 と 重力パラメータであることが分かる。選択肢を確認すると、この2つが組み合わされているのは、5.重力パラメータとストークス数のみである。したがって、この選択肢が正解となる。
問題のポイント
本問のポイントは、「どの無次元数がどの捕集メカニズムを表しているか」を物理的に理解しているかである。レイノルズ数は流体条件の指標であり、粒子径に直接依存しないため、粒子径の次数を問う問題では誤答に直結しやすい。
また、遮りパラメータは粒子径を含むため一見有力に見えるが、一次比例である点を見落とすと誤答を選びやすい。受験者は「粒子径が2乗で効く現象は、慣性衝突や重力沈降に関係する」と整理できていないと混乱しやすい。
本番では「沈降・慣性 → 粒子径2乗」という対応関係を思い出すことが、最短で正解に到達する見分け方である。


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