
公害防止管理者の過去問|令和3年 汚水処理特論 問6 問題と解説
問題6
活性炭吸着に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 活性炭の吸着速度は、活性炭表面積の2乗に比例する。
- 活性炭には疎水性の強い物質ほど吸着されやすい。
- 活性炭での吸着等温線がフロイントリッヒの式X=kCn(X:単位質量当たりの吸着量、C:平衡濃度、k、n:定数)に従うとき、kが大きくnが小さいほうが低濃度から高濃度にわたってよく吸着する。
- 活性炭の使用量を節減し、処理水の濃度を低くするには向流多段吸着が用いられる。
- 活性炭の吸着速度は、活性炭近傍の液境膜の総括物質移動係数が大きいほど大きくなる。
問題6の解答
正解は「1」です。
問題6の解説
この問題は「活性炭が物質を吸着する“起こりやすさ(平衡=どれだけ吸着するか)”」と「吸着が進む“速さ(速度=どれくらい早く吸着するか)”」を区別できるかを問う典型です。
- 平衡(等温線):最終的にどれだけ吸着できるか
- 速度(物質移動):そこに到達するまでどれくらい早いか
誤りになっているのは、この「速度」を不適切な比例関係で言い切っている選択肢1です。
1. 活性炭の吸着速度は、活性炭表面積の2乗に比例する。
誤り。吸着速度は一般に、
- 活性炭周りの液境膜(境界層)での物質移動
- 活性炭粒子内部の拡散などに支配され、速度式では「境界膜の総括物質移動係数 Kf」や「外部表面積(単位容積当たり) av」が一次(線形)で効く形で表されます。例えば、公的機関等が公開している実務マニュアルでは、液相活性炭吸着の速度が KfK_fKf と ava_vav によって表される(=これらが大きいほど速度が上がる)旨が示されています。
つまり、「表面積の2乗に比例」といった一般則は採れず、誇張された誤った断定です。(表面積が大きいほど速くなりやすい、という方向性はあり得ても、“2乗比例”と決め打ちする根拠がありません。)
2. 活性炭には疎水性の強い物質ほど吸着されやすい。
正しい。一般に、水への溶解度が低い(疎水性が高い)有機物ほど活性炭に吸着されやすい、という整理が広く用いられます。環境省資料でも、活性炭処理は「水溶解度が低い疎水性物質が吸着されやすい」趣旨が明記されています。
3. Freundlich式 X=kCn のとき、kが大きくnが小さいほうが低濃度から高濃度にわたってよく吸着する。
概ね正しい(試験的な表現として妥当)。Freundlich 等温線では、定数は「吸着のしやすさ(親和性)」「等温線の形(濃度依存の強さ)」を表すパラメータとして解釈されます。学術・技術資料でも、Freundlich 定数(例:K、1/n)が吸着の親和性・等温線の性状を表す旨が説明されています。
本設問の言い回し(k大、n小が有利)は、少なくとも「低濃度域でも吸着量が出やすい」方向性を述べるものとして、誤りとはされにくい内容です。
4. 活性炭の使用量を節減し、処理水の濃度を低くするには向流多段吸着が用いられる。
正しい。向流多段(カウンターカレント)接触は、一般に「同じ目標水質を達成するための吸着剤量を減らしやすい」「より低い出口濃度を狙いやすい」代表的なプロセス配置です。多段向流吸着における吸着剤量最適化等を扱う研究・解説でも、この考え方が前提になっています。
5. 活性炭の吸着速度は、活性炭近傍の液境膜の総括物質移動係数が大きいほど大きくなる。
正しい。液相吸着では、溶質が活性炭表面に到達するまでに「液境膜」での移動抵抗が効くことがあり、総括物質移動係数 Kf が大きいほど速度が上がる、という整理が一般的です。実務マニュアルでも吸着速度が Kf を含む形で示され、Kf が速度を支配する要因であることが説明されています。
問題を解くポイント
- 「平衡(どれだけ吸う)」と「速度(どれだけ早い)」を分ける。
- 速度については、液境膜の物質移動係数 KfK_fKf や 外部表面積 ava_vav といった“移動のしやすさ”で整理されるのが基本で、「表面積の2乗比例」などの断定は疑う。
- 疎水性が高いほど吸着されやすい、向流多段が有利、といったのは実務でも頻出の基本。


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