
公害防止管理者の過去問|令和3年 汚水処理特論 問2 問題と解説
問題2
連続シックナーに関する記述中、(ア)~(ウ)の中に挿入すべき語句の組合せとして、正しいものはどれか。
連続シックナーの内部で、汚泥濃度C、表面積Aの水平面を考え、重力による沈降速度をRとする。越流での汚泥濃度Ce=0、排泥量をQuとした場合、この水平面を通って下向きに移動する質量沈降速度Gは、( ア )となる。
排泥量が一定であれば、給泥濃度Cfから排泥濃度Cuに至るまでのある濃度CLにおいてGが( イ )になる。このGの値から連続シックナーの( ウ )が求まる。

問題2の解答
正解は「5」です。
問題2の解説
連続シックナー(連続濃縮槽)は、上から泥(水+固形物)が入ってきて、上からはきれいな水(越流)が出る(ここでは越流の汚泥濃度 Ce=0=固形物が出ない)、そして下からは濃い泥(排泥)が出る(流量 Qu)という装置です。
この中で「ある水平面(面積A)を想像して、そこを“固形物が下向きにどれだけ通過するか”」を考えるのが、固体流束(ソリッドフラックス)法の基本発想です。
1) (ア)なぜ G=C(R+AQu) になるのか
固形物が下に移動する理由は 2つあります。
- 重力で沈む(沈降)
- 固形物は重力で沈みます。
- 沈む速さを R(沈降速度)とすると、「濃度 C の泥が、速さ R で下に動く」ので、下向きの“固形物流束(単位面積あたり)”は C×RC \times RC×R になります。
- 下から引き抜くので、全体として下向きの流れができる(バルク流/対流)
- 排泥量が Qu(体積/時間)で、水平面の面積が A なら、その面を通過する平均の下向き流速は Qu/AQ_u/AQu/A(長さ/時間)とみなせます。
- その流れに固形物濃度 C が乗るので、下向きの“固形物流束”は C×(Qu/A)C \times (Q_u/A)C×(Qu/A) です。
したがって、下向きの総固形物流束 G(質量/面積/時間)は
となります。これは「沈降による流束+バルク流による流束」の和、というのが原則です。
2) (イ)なぜ「ある濃度 CL で G が最小」になるのか
排泥量 Qu が一定だと、Qu/A は(設計対象として)一定の“引き抜きの強さ”です。
一方で、沈降速度 R は一般に、濃度が高くなるほど遅くなる(粒子同士が邪魔をして沈みにくい)傾向があります。すると、
- 濃度 C を上げると、C 自体は増える
- しかし R は下がりやすい
という「増える要素と減る要素がぶつかる」ため、G(C) は単調増加にならず、どこかで“いちばん通しにくい”ボトルネック(最小値)が生まれます。その最小の流束を 限界固体流束(limiting solids flux) と呼びます。よって(イ)は 最小値(限界固体流束) です。
3) (ウ)なぜ G から「所要表面積 A」が求まるのか
連続運転で「越流に固形物が出ない(Ce=0)」なら、装置は定常状態で上から入ってくる固形物量(質量/時間)=下へ運べる固形物量(質量/時間)を満たさないといけません。
ここで、下へ運べる固形物量は(単位面積あたりの限界流束)×(面積)で決まります。
つまり
(GL:限界固体流束=最小の G)
したがって設計ではA≥GL固形物の供給量
となり、限界流束 GLG_LGL が分かれば、必要な表面積 A(=所要面積)が決まるわけです。よって(ウ)は 所要表面積(必要面積A) です。
問題を解くポイント
- “下向きに固形物が動く理由は2つ”:「沈む(CR)」+「下から引く(CQu/A)」→ 足して G。
- 排泥量一定だと、濃度のどこかで“いちばん詰まる点(最小流束)”が出る:それが限界固体流束。
- 設計は“ボトルネック(最小流束)で面積が決まる”:
「供給固形物量 ≤ A×限界流束」→ A を計算。


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