公害防止管理者試験の過去問|公害総論:環境問題全般に関する問題③

公害防止管理者試験の過去問|公害総論:環境問題全般に関する問題③
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問題3

大気中の二酸化窒素(NO2)の環境影響及び健康影響に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 光化学オキシダントの生成に関わる。
  2. 植物への影響がある。
  3. 粒子状物質(PM)の生成に関与する。
  4. 健康影響は一酸化窒素(NO)より小さい。
  5. 酸性雨の原因となる。

(令和6年)

問題3の解答

正解は「4」です。

問題3の解説

選択肢は、二酸化窒素(NO₂)の大気化学上の役割生体影響の基礎を問う定番ポイントです。NO₂は「NOx(NO+NO₂)」のうち、反応性が高く毒性の中心を担う物質です。各肢を確認しましょう。

光化学オキシダントの生成に関わる。

✔️ 正しい。 NO₂は太陽光で光分解された時に O(原子状酸素)を生じ、これがO₂と反応してオゾン(O₃)を生成します。都市部の光化学スモッグはNOxと揮発性有機化合物(VOC)の光化学反応が駆動源です。

植物への影響がある。

✔️ 正しい。高濃度・長期曝露では葉の壊死斑、クロロシス、生長抑制などの植生影響が報告されています。感受性の高い種では低濃度でも影響が出ることがあります。

粒子状物質(PM)の生成に関与する。

✔️ 正しい。 NO₂(NOx)は大気中で酸化され硝酸(HNO₃)を経て、アンモニア(NH₃)と反応し硝酸アンモニウム(NH₄NO₃)などの二次生成粒子(硝酸塩PM)を形成します。PM₂.₅の重要な成分のひとつです。

健康影響は一酸化窒素(NO)より小さい。

❌ 誤り。 一般的に、NOよりもNO₂の方が健康影響は大きいと言われています。NO₂は気道深部まで到達しやすい刺激性ガスで、短期曝露で気道炎症・肺機能低下・気道過敏性亢進など、長期曝露で呼吸器疾患リスク上昇との関連があるという見解が主流です。一方、NOは相対的に反応性・毒性が低く、健康影響評価でもNO₂が主指標として扱われます。

酸性雨の原因となる。

✔️ 正しい。 NOxは大気中で酸化され硝酸(HNO₃)となり、乾性・湿性沈着を通じて環境に到達します。硫黄酸化物(SOx)と並ぶ酸性降下物の主要原因です。

問題を解くポイント

・NO₂(=二酸化窒素)は“悪者ガス”:同じ仲間のNO(一酸化窒素)よりも、体に悪くて反応しやすい。健康影響は「NOより強い」ことを覚えておこう。

NO₂が関わる3つの環境問題をセットで覚える:太陽の光で光化学スモッグ(オゾン)をつくる。空気中で変化して**PM(粒子)**をつくる。雨に溶けて酸性雨になる。

植物にも悪影響: 高濃度だと葉っぱが枯れたり、成長が悪くなる。

つまり、「NO₂は人にも植物にも環境にも悪い。NOより毒性が強い。」これを覚えておけば、この問題は迷わず4番が誤りと判断できます。

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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