
公害防止管理者の大気関係1種・2種・3種・4種の違いや選び方を解説

公害防止管理者の大気区分を受験するにあたって、選択する種別を迷っている人たちもいるはずです。実際、学習状況や職場などによって受けるべき区分は異なりますが、大気の1種から4種にかけて具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、公害防止管理者の大気関係1種・2種・3種・4種の違いを解説しています。また、それぞれの区分に関する選び方や大気区分で国家資格を取得するメリットについても言及しているので、これから大気関係の資格を取ろうと考えている人たちは参考にしてみてください。
公害防止管理者大気関係の概要
公害防止管理者とは、公害の防止を専門とし、工場で環境対策を管理する国家資格です。法律により一定規模の工場で有資格者の選任が義務付けられている必置資格の一つです。
公害防止管理者試験は公害の種類ごとに区分され、大気・水質・騒音など全13区分で実施されています。公害防止管理者の大気区分は第1種~第4種のレベルに分けられており、大気汚染防止に関わる公害発生施設を担当します。
「公害防止管理者制度」は1971年制定の法律に基づき、特定工場に公害防止組織の設置を義務付ける形で発足しました。この制度では公害防止管理者が各工場で公害発生施設・防止設備の運転や維持管理などを直接担当し、公害を未然に防ぐ役割を担います。
公害防止管理者には大気、水質、騒音振動、粉じん、ダイオキシン類など担当分野別の種類があります。その中で、大気関係の公害防止管理者は、工場のばい煙や有害ガス排出源について環境基準を守るための管理監督を行う資格です。
例えば、ボイラーや焼却炉などからの大気汚染物質の排出量測定や、排煙処理装置の維持管理などを統括します。公害防止管理者を選任すべき工場は法律で定められており、該当する工場では有資格者を配置しないと操業できません。
したがって、環境関連部門の技術者にとって、公害防止管理者資格は環境法令遵守のために欠かせないものとなっているのです。
大気関係1種・2種・3種・4種の違い
大気関係第1種~第4種の違いは大きく分けて3点あります。
ここでは、試験科目、難易度、担当できる施設の順にそれぞれの相違点を詳しく解説していきます。
その1 試験科目
第1に、公害防止管理者の大気区分は種別によって試験科目に違いがあります。具体的には、次の表に示しているとおりです。
合格基準は各科目とも満点の60%以上ですが、各科目単位で合否判定される「科目合格制」が採用されている点も特徴です。この制度により一度で全科目に合格しなくても、一部科目に合格していれば翌年以降にその科目は免除されます。
その2 難易度
第2に、公害防止管理者の大気区分は第1種が最も難しく、第4種が最も取得しやすいと言えます。
前述のとおり、第1種は試験範囲が非常に広く、一度に6科目全てに合格するのは至難の業です。具体的に言うと、令和6年度の大気関係第1種を科目免除なしで合格した割合は3.1%しかいないというデータもああります。このことからも「第1種の難易度は高い」と言えるでしょう。
多くの受験者は社会人であることから科目合格制度を活用して3年計画で合格を目指しているわけです。

一方で、第4種は科目数が少ないので試験自体の負担は比較的に軽くなっています。短期間の学習で挑戦しやすい区分のひとつであると言えるでしょう。その割には合格率がやや低めですが、これは第4種が環境系の入門資格として受験母数が多いことが影響していると考えられます。
その3 担当施設
第3に、大気区分の第1種、第2種、第3種、第4種では、それぞれで担当できる施設に違いがあります。
第1種は大気汚染に関するすべての公害発生施設をカバーできる最高区分で、最も広い業務範囲を担当できます。これに対して、第2種から第4種は扱える施設の種類が段階的に限定され、規模が小さい設備や有害物質を出さない設備向けの資格となっています。具体的には、次の表を参照してください。
第1種以外の種別では有害物質の有無や排出ガス量に条件があり、自分の資格種別で対応できない規模・種類の工場では公害防止管理者になれません。
例えば、工場の排煙設備が大型ボイラーで、排出ガス量が毎時4万m3以上ある場合は、第1種または第3種の資格者でなければ公害防止管理者に選任できません。一方、排出ガス量が少なくても作業工程で塩化水素など有害物質を排出する設備がある場合は第1種または第2種の資格者が必要になります。
最終的に、第1種を取得しておけばあらゆる大気汚染防止設備をカバーできますが、第1種以外の資格だと担当できる工場が限定されるため、自社工場の設備規模・排出物質に適した種別を選ぶことが重要です。
種別の選び方
それでは、公害防止管理者の大気区分で受験を本格的に考えている人たちは、どのような視点で種別を決定すればよいのでしょうか?
ここでは、3つの視点から最適な選び方を解説していきます。
その1 勉強に使える時間で決定する
はじめに、短期間で合格したい場合は科目数の少ない第4種から挑戦し、合格後に上位種別へステップアップするのも有効です。逆に、長期計画で取り組める場合は最初から第1種を狙い、数年かけて科目合格を積み重ねる戦略が考えられます。
公害防止管理者試験には科目免除制度があるため、中期的に難関の第1種も合格可能です。また、一度に全科目合格する負担を減らしたい場合は段階的に取得する方法があります。
この方法では、第1種の受験時に獲得した科目合格が次回の第1種の受験時に免除され、しかも有効期限は無期限となる利点があります。例えば、初年度に第1種の4科目に合格し、翌年度に残りの2科目(有害物質特論・大規模特論)を受験すれば、第1種を効率よく取得できるわけです。実際に、多くの社会人受験者が仕事と両立しながらこのような2~3年計画で合格を目指しています。
科目合格制度はあくまでも同じ受験区分のみに適用されます。例えば、第1種で第4種の全科目に合格したからといって、第4種を受験する時に科目が免除されるわけではないことに注意してください。
その2 職場で使用する区分で決める
続いて、自分の職場の公害防止対象設備に合わせて種別を選ぶ方法です。現在勤務している工場や部署で必要とされる区分を優先的に取得するのが基本となります。職場の設備規模・排出物質に対し法律で求められる最低種別以上の資格を取得しておけば、実務にすぐ活かせます。
前述したように、公害防止管理者は工場の設備条件ごとに必要資格が定められています。そのため、現在の職場で公害防止管理者に選任される予定がある場合、その職場で求められる種別を取得するのが最優先です。法律上必要な資格を満たしていないと管理者に選任できず、事業所として法令違反になるおそれがあるためです。
自社の環境管理担当として資格取得を指示された場合は、まず上司や環境保安担当部署に必要な区分を確認しましょう。工場の公害防止計画書や環境管理マニュアルには、必要な公害防止管理者区分が明記されているはずです。そこで要求されている資格種別を取得すれば、取得後すぐに公害防止管理者として選任され、職場でも重宝されるでしょう。
その3 将来のキャリア目標で決める
最後に、将来的なキャリアパスや目標に照らして取得する種別を選ぶ方法です。環境管理分野でキャリアアップを目指すならより上位の種別に挑戦する価値があります。逆に、現場経験の一環で基礎知識を得たい場合は取りやすい種別から始める選択肢もあるでしょう。
公害防止管理者資格はキャリア形成の手段にもなり得ます。具体的に言うと、将来的に環境保全の統括責任者を目指すなら、関連する公害防止管理者資格を最上位種別まで取得しておくと信頼性が高まります。
また、大規模事業所への転職やコンサルタント職を視野に入れる場合、第1種の肩書きはアピール材料になります。一方、現在の職務上ただ基礎知識を身につけたいだけであれば、短期間で取得できる第4種から始めるのも合理的です。将来の方向性によって、時間をかけて難関資格に挑むか、効率重視でまず基本資格を押さえるか判断が変わります。
大気関係の資格を取るメリット
なお、公害防止管理者の別の区分と比較したときに、大気関係の国家資格に合格するメリットは具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
結論から言えば、大気関係の資格は、公害防止管理者の各区分の中でも突出して業界ニーズが高い傾向にあります。ボイラーや焼却炉など排ガスを出す設備は多くの工場で不可欠なため、大気関係公害防止管理者は様々な業種で求められています。
実際、公害防止管理者資格の中では「大気関係・水質関係が一般的に人気というか需要があります」とされており、騒音や振動等の他区分に比べ取得者・募集とも多い傾向があります。この高い需要ゆえ、資格を取得することで転職市場や社内で環境技術者としての価値が高まり、企業によっては資格手当の支給や環境管理部署での昇進にも繋がります。
事実、公害防止管理者資格は安定した需要があるうえに、資格手当や昇進面でも有利になると報告されています。環境への取り組みが重視される昨今、特に大気分野の有資格者は各社から「ぜひ社内に確保しておきたい人材」として待遇面でも優遇される傾向が強いのです。
取得の目的を具体化しよう!
公害防止管理者(大気関係)第1種~第4種の違いについて、試験科目・難易度・業務範囲の観点から解説しました。それぞれ受験要件も役割も異なる資格ですが、最終的には、「何のために取得するか?」が種別選択の決め手になります。
公害防止管理者資格は工場の環境対策に不可欠な武器ですが、それ自体が目的ではなく現場で活かしてこそ価値がある資格です。ぜひ自身の勉強計画やキャリアプランに合わせて最適な種別を選び、計画的に合格を目指してください。本記事の情報が皆様の資格取得の一助になれば幸いです。


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