公害防止管理者の過去問｜令和7年公害総論問13 問題と解説

2025年11月19日

問題１３

2021（令和3）年度における産業廃棄物に関する記述として、誤っているものはどれか（環境省：令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書、及び環境省：産業廃棄物の排出・処理状況等”令和3年度実績”による）。

正解は「２」です。

2021（令和3）年度の産業廃棄物について、環境省資料の値と照らし合わせながら一つずつ確認していきます。

産業廃棄物の総排出量は約3億7600万トンであり、前年度に比べて約200万トン増加した。

環境省「産業廃棄物の排出・処理状況等（令和3年度実績）」では、次のように書かれています。

「令和３年度における全国の産業廃棄物の総排出量は約3億7,600万トンであり、前回の調査結果（令和2年度実績）から約200万トン増加（0.6％増）した」

したがって、数量も前年度比の方向も一致しており、正しい記述です。

業種別排出量が最も多い業種は、建設業であった。

同じ資料の業種別排出量を見ると、令和3年度の上位は次の通りです。

つまり、最も排出量が多いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」であり、建設業は3番目です。

「電気・ガス・熱供給・水道業（下水道業を含む。）からの排出量が最も多く…次いで農業、林業…建設業…」

したがって、「建設業が最も多い」とするこの記述は誤りです。よって、選択肢2が問題の求める誤りの記述となります。

種類別排出量では、汚泥の排出量が最も多く、全体の40%以上を占めていた。

種類別排出量について、令和3年度は次のように示されています。

「汚泥の排出量が最も多く、約159,818千トン（全体の42.5％）…」

つまり、汚泥が種類別で最も多く、割合も40％以上（42.5％）なので、記述通りで正しいです。

再生利用率が高い廃棄物には、金属くず、がれき類、動物のふん尿がある。

同じ調査の「種類別の処理状況」を見ると、再生利用率の高い品目として、はっきりこの３つが挙がっています。

「再生利用率が高い廃棄物は、がれき類の96.4％、金属くずの95.9％、動物のふん尿の95.0％、鉱さいの91.9％等であり…」

したがって、金属くず、がれき類、動物のふん尿はいずれも再生利用率の高い代表的な品目であり、この記述は正しいです。

年度ごとに新たに判明した不法投棄件数は、ここ5年間(2017～2021年度)は200件以下で推移している。

不法投棄の「新規判明件数」の推移を、環境省の公表や解説記事から拾うと、おおよそ次のようになっています（いずれも10トン以上の事案が対象）：

いずれの年度も 200件を超えていません。

2021年度の不法投棄件数：107件（前年差 -32件）などと報告されている。

したがって、「2017〜2021年度の5年間、すべて200件以下で推移」という記述は、事実と一致しており正しいです。

「業種別1位は電気・ガス・熱供給・水道業」をセットで暗記
- 産業廃棄物の排出量は、1位：電気・ガス・熱供給・水道業、2位：農業・林業、3位：建設業という並びがしばらく続いています。「建設業がトップ」と書かれていたら、まず疑うクセをつけましょう。
種類別では「汚泥・ふん尿・がれき類で約8割」を押さえる
- 排出量トップ３：汚泥＞動物のふん尿＞がれき類
- この３つで全体の約8割という構図は、公害総論で頻出です。
再生利用率の“高い３兄弟”もセットで
- がれき類・金属くず・動物のふん尿（＋鉱さい）→「再生利用率が高い代表」としてよく問われます。
不法投棄は「ピークから大幅減少、ここ数年は100〜150件台」
- 2017〜2021年度はいずれも200件未満。
- 「200件以下で推移」は、数字をざっくり覚えておけば判断しやすいポイントです。