公害防止管理者の過去問|令和7年 公害総論 問12 問題と解説

公害防止管理者の過去問|令和7年 公害総論 問12 問題と解説
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問題12

騒音及び振動に関する記述中、ア~ウの(  )の中に挿入すべき語句・数値の組合せとして、正しいものはどれか。

・近年の騒音に係る苦情件数は、典型七公害の総苦情件数の( ア )%を超えている(総務省公害等調整委員会:令和4年度公害苦情調査結果報告書による)。

・航空機騒音に係る評価は1日ごとの( イ )を算出し、全測定日について、そのパワー平均を算出する。

・在来鉄道騒音については、「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針」が定められ、この指針では騒音の評価量として( ウ )が用いられている。

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選択肢
20時間帯補正等価騒音レベル騒音レベルの最大値
30加重等価平均感覚騒音レベル騒音レベルの最大値
30時間帯補正等価騒音レベル等価騒音レベル
40加重等価平均感覚騒音レベル騒音レベルの最大値
50加重等価平均感覚騒音レベル等価騒音レベル

問題12の答え

正解は「3」です。

問題12の解説

ア~ウを一つずつ、元になっている資料と結びつけて確認していきます。

アについて:騒音苦情が典型7公害の何%か?

近年の騒音に係る苦情件数は、典型七公害の総苦情件数の(ア)%を超えている
(総務省公害等調整委員会:令和4年度公害苦情調査結果報告書による)。

令和4年度の典型7公害の苦情内訳(全国)を見ると、騒音の苦情は 19,677件(38.2%) で最も多い
という集計が紹介されています。つまり、騒音が典型7公害全体に占める割合 ≒ 4割弱(約38%)ですから、以下の通りに判断できます。

  • 20% → 当然超える
  • 30% → 明らかに超える(38.2%)
  • 40% → わずかに届かない
  • 50% → 当然届かない

となります。選択肢の中で、「“超えている” として妥当な代表値」として使われているのは 30% です。したがって、(ア)=30 が適切です。

イについて:航空機騒音の評価指標は何か?

航空機騒音に係る評価は1日ごとの(イ)を算出し,
全測定日についてそのパワー平均を算出する。

ここは、現在の航空機騒音の評価指標が何か、という話です。

以前は、航空機騒音の評価には、WECPNL(W値)=加重等価平均感覚騒音レベルが使われていました。

しかし、その後の見直しで、日本ではLden(時間帯補正等価騒音レベル)を新たな評価指標として採用することになりました。

Ldenは、

  • 昼(7〜19時)、夕(19〜22時)、夜(22〜7時)ごとの騒音を
  • 夕方には +5 dB、夜間には +10 dB の「重み付け」をして
  • 1日ごとの時間帯補正等価騒音レベルとしてまとめる

という評価量です。環境省のマニュアルでも、「Ldenでの評価では、1日ごとの時間帯補正等価騒音レベルを算出し、…」と明記されています。

したがって、(イ)に入るのは「時間帯補正等価騒音レベル(Lden)」であり、「加重等価平均感覚騒音レベル(WECPNL)」ではありません。よって (イ)=時間帯補正等価騒音レベル が正解。

ウについて:在来鉄道騒音の評価量は何か?

在来鉄道騒音については,「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針」が定められ,この指針では騒音の評価量として(ウ)が用いられている。

この「指針」は環境省(旧環境庁)が定めたもので、公式な文書では次のように書かれています。

新線等価騒音レベル(LAeq)として、昼間(7〜22時)60 dB(A)以下、夜間(22時〜翌日7時)55 dB(A)以下とする。

つまり、在来鉄道の新設・大規模改良時の評価量は等価騒音レベル(LAeq)です。最大値ではありません。 よって (ウ)=等価騒音レベル が正解です。

問題を解くポイント

ポイント1:騒音苦情は「典型7公害の4割弱」

  • 全国統計では、典型7公害の中で騒音が約4割(38%前後)で最多 という構図が続いています。
  • 「30%を余裕で超えているが、40%はわずかに切る」というイメージで覚えておくと、「アは20か30か?」で迷いにくくなります。

ポイント2:航空機騒音=Lden/WECPNLの使い分け

  • 現在:Lden(時間帯補正等価騒音レベル)
  • 以前:WECPNL(加重等価平均感覚騒音レベル)

試験では、この新旧指標の取り違えが頻出です。

ポイント3:在来鉄道=等価騒音レベル(LAeq)

  • 在来鉄道指針 → 評価量は一貫して LAeq
  • 新幹線の環境基準(騒音レベル)や道路交通騒音の面的評価などとゴチャ混ぜにしないことが大事です。

この問題は、統計(騒音苦情の割合)、評価指標(Lden・WECPNL・LAeq)、個別ガイドライン(在来鉄道指針)という、騒音分野のよく出る3ネタの総復習になっています。それぞれを「キーワード+どの対象か」で整理して覚えておくと、公害総論の騒音問題はかなり取りやすくなります。

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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