公害防止管理者の過去問｜令和7年 公害総論 問11 問題と解説

問題１１

問題１１の答え

正解は「４」です。

問題１１の解説

① 元データを確認する

問題文の出典は「環境省：令和4年度地下水質測定結果（概況調査）」です。この報告書の本文には、概況調査について次のように書かれています。

項目別の環境基準超過率は、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が 2.7％が最も高く、次いで、砒素（ひ素）1.7％、ふっ素 1.0％、鉛 0.2％、テトラクロロエチレン 0.2％、ほう素 0.2％、クロロエチレン 0.1％、1,2-ジクロロエチレン 0.1％、トリクロロエチレン 0.1％ の順であった。

この一文から、超過率の高さランキングは次のようになります。

1. 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素　2.7％
2. ひ素　1.7％
3. ふっ素　1.0％
4. 鉛、テトラクロロエチレン、ほう素　0.2％
5. クロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、トリクロロエチレン　0.1％

したがって、

• 「最も高い項目」＝ 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
• 「2番目に高い項目」＝ ひ素

の組合せが正しいことが分かります。これに対応するのが選択肢 ４ です。

② 各選択肢を検討する

それぞれが上のランキングと合っているか確認してみます。

選択肢1

トリクロロエチレン　／　鉛

• トリクロロエチレン：0.1％（かなり低い）
• 鉛：0.2％

どちらも、硝酸性窒素・ひ素・ふっ素よりずっと低いので、
「最も高い／2番目に高い」とするのは誤り。

選択肢2

ひ素　／　ふっ素

• ひ素：1.7％ → 「2番目に高い」は正しい
• ふっ素：1.0％ → 「3番目に高い」

一見惜しいですが、「最も高い項目は硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」ですから、1番目にひ素を置いているこの選択肢は誤りです。

選択肢3

ふっ素　／　鉛

• ふっ素：3番目
• 鉛　　：4番目グループ

どちらもトップ2ではないので、誤りです。

選択肢4（正解）

硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素　／　ひ素

• 1位：硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素（2.7％）
• 2位：ひ素（1.7％）

データどおりの並びで、正しい組合せです。

選択肢5

トリクロロエチレン　／　硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素

• トリクロロエチレン：0.1％（かなり低い）
• 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素：2.7％（1位）

1位の項目を「2番目」と置き、0.1％のトリクロロエチレンを「1番目」としているので、順位が完全に逆で誤りです。

③ なぜ「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」がいつも問題になるのか

報告書では、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素について、「概況調査で環境基準超過率が比較的高い項目」であり、令和4年度の超過率は 2.7％ であること、汚染原因は過剰な施肥・家畜排せつ物・生活排水の地下浸透などであることが説明されています。

つまり、

• 人間活動（日常生活や農業）に深く関係し、
• 広い範囲でじわじわと地下水を汚染しやすい項目

であるため、超過率が最も高い項目として毎年要注意になっている、という背景があります。

④ 問題を解くポイント

1. 「概況調査」の値かどうかを確認する
   • 本問は「概況調査の環境基準超過率」が対象です。
   • 継続監視調査や汚染事例数の話と混同しないように注意します。
2. 硝酸性窒素・ひ素・ふっ素の“トップ3”をセットで覚える
   • 令和4年度概況調査の超過率上位３つ
     1. 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素（2.7％）
     2. ひ素（1.7％）
     3. ふっ素（1.0％）
   • この「三強」を押さえておけば、選択肢の多くは瞬時に消せます。
3. VOC（トリクロロエチレンなど）は現在では“低め”であることを知っておく
   • トリクロロエチレン・テトラクロロエチレンなどの揮発性有機化合物は、
     規制や対策の効果で超過率は 0.5％未満 で推移しているとされます。
   • 「最も高い」「2番目に高い」と言われたら、まず硝酸性窒素、ひ素、ふっ素を疑う、
     と覚えておくと、公害総論の統計問題に強くなります。

以上より、最も高い項目＝硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、2番目に高い項目＝ひ素を選んだ 選択肢４ が正解となります。