公害防止管理者の過去問|令和6年 公害総論 問1 問題と解説

公害防止管理者の過去問|令和6年 公害総論 問1 問題と解説
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問題1

環境基本法第1条に規定する目的に関する記述中、ア~ウの(  )の中に挿入すべき語句(a~f)の組合せとして、正しいものはどれか。

この法律は、( ア )について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、( ア )に関する施策の基本となる( イ )を定めることにより、( ア )に関する施策を( ウ )かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。

  1. 公害
  2. 環境の保全
  3. 事項
  4. 原則
  5. 円滑
  6. 総合的
選択肢
ace
bdf
bcf
adf
ade

問題1の答え

正解は「3」です。

問題1の解説

まず、この設問は環境基本法第1条(目的)をどこまで正確に覚えているかを見る典型問題です。条文の該当部分を“正しく”書き下すと次のようになります。

この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。

これを(ア)〜(ウ)に対応させると、(ア):環境の保全、(イ):事項、(ウ):総合的となります。では、なぜそうなるのかを、一つずつ見ていきましょう。

① (ア) に入るのは「環境の保全」

文中はこうなっています。

この法律は、(ア)について、基本理念を定め、…
…、(ア)に関する施策の基本となる(イ)を定めることにより、(ア)に関する施策を(ウ)かつ計画的に推進し…

ここに入るのは、この法律が対象としている“大きなくくり”です。

候補は「公害」と「環境の保全」ですが、環境基本法は、公害だけではなく、自然環境・生活環境・地球環境なども含めた広い意味での「環境の保全」を対象としています。実際の条文でも、ここは一貫して「環境の保全について」となっています。

したがって、(ア)には環境の保全(b) が入ります。「公害」を入れてしまうと、法律の射程が狭くなってしまうので×です。公害対策基本法はすでに廃止され、その役割を環境基本法がより広く引き継いでいます。)

② (イ) は「事項」か「原則」か?

次の部分を見ます。

…(ア)に関する施策の基本となる(イ)を定めることにより…

ここで考えるべきポイントは、「施策の基本となるを定める」のか?

選択肢は「事項」あるいは「原則」ですが、条文は「施策の基本となる事項を定める」が正解です。「原則」ではなく「事項」となっているところが試験でよく狙われるポイントです。

  • 「基本理念」:法律全体の考え方の大枠
  • 「施策の基本となる事項」:具体的にどんな施策をどう進めていくかの枠組み

という役割分担になっています。したがって、(イ)には事項(c) が入ります。

③ (ウ) は「総合的」か「円滑」か?

問題文の該当部分は:

…(ア)に関する施策を(ウ)かつ計画的に推進し、…

ここで大事なのは、施策の進め方を表す副詞的な言葉です。

候補は「円滑」あるいは「総合的」です。正しい条文は、「施策を総合的かつ計画的に推進し」です。

  • 「総合的」:分野ごと・地域ごとにバラバラな施策ではなく、全体として整合性をもって進める
  • 「計画的」:場当たりでなく、中長期の計画に基づき着実に進める

というセットで、環境行政の方向性を示しています。

「円滑かつ計画的」という言い回しはこの条文では使われていませんし、意味としても「円滑」は“支障なくスムーズに”というニュアンスで、ここで言いたい「各施策をトータルに統合して進める」という意味とはズレます。したがって、(ウ)には総合的(f)が入ります。

④ 問題を解くポイント(覚え方のコツ)

  1. 第1条は“ほぼ丸暗記”レベルで押さえる
    特に次のフレーズは頻出です。
    • 「環境の保全について」
    • 「施策の基本となる事項」
    • 「施策を総合的かつ計画的に推進し」
  2. キーワードの役割をイメージする
    • 「環境の保全」:対象
    • 「基本理念」:考え方の大枠
    • 「基本となる事項」:施策の枠組み
    • 「総合的かつ計画的」:進め方
  3. 似た語のひっかけに注意
    • 「公害」 vs 「環境の保全」
    • 「原則」 vs 「事項」
    • 「円滑」 vs 「総合的」
    この問題は、そのすべてを一気に聞いてくる“典型問題”になっています。

条文を日本語として声に出して読むと、「環境の保全」「事項」「総合的かつ計画的」が自然に感じられるようになり、選択肢の違和感にすぐ気づけるようになりますよ。

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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