公害防止管理者の過去問｜令和5年 公害総論 問４ 問題と解説

問題４

問題４の解答

正解は「１」です。

問題４の解説

まず、環境基本法第16条（環境基準）の条文を正しく思い出しておきます。

①環境基本法 第16条 第1項・第2項（要約）

第1項（環境基準の内容）

政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音 に係る 環境上の条件 について、
それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準 を定めるものとする。

第2項（類型ごとの地域・水域を指定する者）

前項の 基準 が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を 指定すべきもの として定められる場合には、その地域又は水域の 指定に関する事務 は、次の各号に掲げる地域又は水域の 区分 に応じ、当該各号に定める者が行うものとする。

これと問題文の a〜j を比較して、どこが違うかを見ていきます。

②各下線部の正誤チェック

(a)「大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音及び悪臭」

条文では「大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染 及び騒音」であって、「悪臭」は入っていません。悪臭については、環境基本法16条の環境基準の対象ではなく、悪臭防止法など別の枠組みで扱われます。

したがって (a) は誤り です。

(b)「環境上の条件」

条文どおり「環境上の 条件」なので 正しい です。

(c)「それぞれ」

• 第1項：それぞれ、人の健康を〜
• 第2項：それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を〜

どちらも条文どおりで、正しい です。

(d)「保護」

条文どおり「人の健康を 保護し，及び生活環境を…」なので 正しい です。

(e)「保全」

ここも条文どおり「生活環境を 保全 する上で…」なので 正しい です。

(f)「維持されることが望ましい」

これも原文どおり「維持されることが望ましい基準」であり、正しい です。

(g)「基準」

第1項・第2項ともに「基準」で統一されており、正しい です。

(h)「指定」「指定」

第2項では、「…地域又は水域を 指定すべきもの として定められる場合には，その地域又は水域の 指定 に関する…」となっているので、(h) の「指定」はどちらも 正しい です。

(i)「指示」

問題文では、「その地域又は水域の(h)指定に関する (i)指示 は…」となっていますが、条文では「…その地域又は水域の指定に関する 事務 は…」です。つまり、正しくは 「事務」 であって、「指示」ではありません。したがって、(i) は誤り です。

(j)「区分」

条文どおり「…地域又は水域の 区分 に応じ…」なので 正しい です。

③問題を解くポイント

ポイント１：「環境基準」の対象は４つだけ

• 大気の汚染
• 水質の汚濁
• 土壌の汚染
• 騒音

悪臭は入らないことをしっかり覚えておきましょう。
（悪臭防止法のイメージと混同しやすいところの典型的なひっかけです。）

ポイント２：「健康の保護」と「生活環境の保全」はセットで暗記

• 人の健康を 保護 し
• 生活環境を 保全 する

このペアは公害総論で頻出です。語順も含めてそのまま覚えておきましょう。

ポイント３：「指定に関する事務」

第2項のキーワードは「指定に関する 事務 は，区分に応じ，○○が行う」です。「指示」ではなく 事務 であることに注意すると、(i) の誤りを確実に見抜けます。