
公害防止管理者の過去問|令和4年 公害総論 問7 問題と解説

問題7
我が国の2019(令和元)年度における環境への排出量が、2013(平成25)年度の排出量よりも減少した温室効果ガスとして、誤っているものはどれか(環境省:令和3年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書による)。
- 二酸化炭素
- メタン
- 一酸化二窒素
- 六ふっ化硫黄
- ハイドロフルオロカーボン類
問題7の解答
正解は「5」です。
問題7の解説
以下、それぞれの温室効果ガスが 2013年度から 2019年度に 減少したか否かを、データで確認します。
1.二酸化炭素(CO₂)
●データ:環境省「2019年度(令和元年度)温室効果ガス排出量(確報値)について」
- 2019年度排出量:約 12億1,200万トン CO₂ 換算
- 2013年度比:▲14.0%(約1億9,700万トン減少)
つまり、CO₂は 2013年度より明確に減少しています。 選択肢1は「減少した」対象として正しい。
2.メタン(CH₄)
●データ:同資料
- 2019年度 CH₄ 排出量:2,840万トンCO₂換算
- 2013年度比:▲5.4%(約160万トン減少)
CH₄ も 2013年度より減少しています。選択肢2は正しい。
3.一酸化二窒素(N₂O)
●データ:同資料
- 2019年度 N₂O 排出量:1,980万トンCO₂換算
- 2013年度比:▲7.5%(約160万トン減少)
N₂O も 減少しています。選択肢3は正しい。
4.六ふっ化硫黄(SF₆)
●データ:同資料
- 2019年度 SF₆ 排出量:200万トンCO₂換算
- 2013年度比:▲3.6%(約7万トン減少)
SF₆ も 減少しています。選択肢4は正しい。
5.ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)
●データ:同資料
- 2019年度 HFCs 排出量:4,970万トンCO₂換算
- 2013年度比:+54.8%(約1,760万トン増加)
HFCs は 2013年度より大きく増加しており、減少したとは言えません。よって 減少したものとして記述するのは誤りです。選択肢5が「誤っているもの」となります。オゾン層破壊物質 (HCFCs) の代替冷媒として導入されたため、 冷媒・エアコン・断熱材用途での使用が急増しています。従って排出量が増加。
問題を解くポイント
●ポイント1:2013年度を基準年とする「○%減」「○%増」の数値を覚える
(すべて2019年度比・2013年度基準)
- CO₂:▲14.0%
- CH₄:▲5.4%
- N₂O:▲7.5%
- SF₆:▲3.6%
- HFCs:+54.8%
●ポイント2:HFCs は近年“増加傾向”であるという常識を押さえる冷媒代替により、HFCs は削減対象となっているものの、代替前後の過渡期には排出が増加してきた物質である。
●ポイント3:選択肢を「減少した」もの vs 「増加した」ものに分類する
出題では「減少したものとして誤っているもの」を問う設問。→ 減少したものなら“正”、増加なら“誤り”。


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