
公害防止管理者の過去問|令和4年 公害総論 問11 問題と解説

問題11
土壌汚染及び地盤沈下の現状に関する記述として、誤っているものはどれか(環境省:令和3年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書による)。
- 2019(令和元)年度における土壌汚染の調査事例件数の40%弱で、土壌環境基準等を超過する汚染が認められた。
- 土壌汚染が判明した事例では、ふっ素、鉛、ひ素等による汚染が多い。
- 土壌汚染の超過事例件数は、この10年間で半減している。
- 東京都区部、大阪市、名古屋市等では、地盤沈下は沈静化の傾向をたどっている。
- 消融雪地下水採取地、水溶性天然ガス溶存地下水採取地など、一部地域では依然として地盤沈下が発生している。
問題11の解答
正解は「3」です。
問題11の解説
出典:環境省「令和3年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」
白書第2部 第2章「土壌環境・地盤環境」のデータを使用します。
◆選択肢1→正しい
2019(令和元)年度における土壌汚染の調査事例件数の40%弱で、土壌環境基準等を超過する汚染が認められた。
白書には、令和元年度の調査結果として「調査事例2,217件のうち、40%弱で土壌汚染が確認された」
(環境白書 令和3年版 第2部 第2章)と記載されています。
◆選択肢2→正しい
土壌汚染が判明した事例では、ふっ素、鉛、ひ素等による汚染が多い。
土壌汚染の超過項目として「ふっ素、鉛、砒素(ひ素)、六価クロム等 の超過事例が多い」です。
◆選択肢3→誤り
土壌汚染の超過事例件数は、この10年間で半減している。
環境白書の土壌汚染に関する長期推移グラフでは、
- 平成21年度頃:約 1,000 件前後
- 平成31(令和元)年度:900 件前後
となっており、「大きく減少した」事実はあるが、“半減(50%減)” というほどの減少は起こっていない。
◆選択肢4→正しい
東京都区部、大阪市、名古屋市等では、地盤沈下は沈静化の傾向をたどっている。
東京23区、大阪市、名古屋市では、地盤沈下は沈静化(収束)傾向となっています。
◆選択肢5→正しい
消融雪地下水採取地、水溶性天然ガス溶存地下水採取地など、一部地域では依然として地盤沈下が発生している。
消融雪用地下水揚水地(北海道など)や、水溶性天然ガス溶存地下水採取地域(新潟県)などでは、現在も地盤沈下がみられますので、正しいと判断できます。
問題を解くポイント
●ポイント1:土壌汚染は「40%弱の判明率」と「ふっ素・鉛・ひ素」が頻出環境白書を毎年見ると、これらは安定した傾向。
●ポイント2:「半減」「ゼロになった」など強い断定表現は疑う
公害防止管理者ではひっかけ表現として頻出。
●ポイント3:地盤沈下は「三大都市圏は沈静化」「特定地域は継続」が鉄板
東京・大阪・名古屋 → 沈静化
北海道(融雪用地下水)新潟(溶存天然ガス採取) → 継続


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