公害防止管理者の過去問|令和3年 水質概論 問7 問題と解説

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問題7

工場・事業場の汚水の性状に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

  • 食料品製造業やパルプ製造業は、BODの高い汚水を排出する。
  • 染色整理業は、処理が不十分であると放流先の河川の水を着色させる汚水を排出する。
  • 皮革業、殺虫剤や殺菌剤などの製造業は、有機性で有害物質を含む汚水を排出する。
  • コンクリート製品製造業は、重金属などの有害物質を大量に含む汚水を排出する。
  • コークス製造業は、アンモニア、フェノール類、シアン等を含有する汚水を排出する。

問題7の解答

正解は「4」です。

問題7の解説

この問題は、「業種ごとの典型的な汚水の性状」を知っているかどうかを問う、頻出のパターンです。
一つずつ事実と照らし合わせていきます。

選択肢1→ 正しい

食料品製造業やパルプ製造業は、BODの高い汚水を排出する。

環境省がJICAとまとめた食品工場廃水の資料では、「食品製造工場廃水の特徴はBOD,SS、油分が高く、腐敗しやすい」と明記されています。また、パルプ・紙工場の排水についても、パルプ・紙工場の廃水は高いBOD、COD、懸濁物質を含むとされています。どちらも有機物負荷が高くBODが大きい典型的な産業廃水であり、正しい記述です。

選択肢2→ 正しい

染色整理業は、処理が不十分であると放流先の河川の水を着色させる汚水を排出する。

染色排水についての日本語文献では、染色排水を特徴づけているのは「着色」であると述べられており、着色への対策として脱色処理が議論されています。また、排水の着色原因として、環境ソリューション企業の技術解説では、「染色工場排水の着色原因は、染料や染色助剤であり、これが排水中に残ることで着色が問題となる」と説明されています。

染色整理業からの排水は、処理不良だと受け入れ水域を着色させることが知られており、正しい記述です。


選択肢3→ 正しい

皮革業、殺虫剤や殺菌剤などの製造業は、有機性で有害物質を含む汚水を排出する。

皮革工場の排水についての質疑では、皮革排水の特徴として、BODが高い、有機物負荷が大きい、クロムを含むといった点が挙げられており、汚濁負荷が高く、かつ有害物質(クロム)を含むことが示されています。

殺虫剤・殺菌剤の多くは、有機塩素系など有機化合物で毒性を有するものが多いことが、国・自治体の化学物質解説資料で示されています。これらを製造する工場の排水には、有機溶剤や殺虫・殺菌成分(有機塩素系など)が混入するおそれがあり、有機性で有害物質を含む排水となり得ることは妥当な理解です。

若干抽象的な書き方ではありますが、

  • 皮革業:高BOD+クロム等の有害物質
  • 殺虫剤・殺菌剤製造:有機性で有害な薬品を含む可能性

という方向性としては正しいため、この選択肢は不適切とは言えません。

選択肢4(不適切な記述)

コンクリート製品製造業は、重金属などの有害物質を大量に含む汚水を排出する。

ここが「不適切」です。

国交省資料(コンクリートスラッジ・生コン関連)では、生コンやコンクリート製品製造時に発生するのは、「強アルカリ性」の産業廃棄物であり、水分は酸で中和処理する必要があると説明されています。

また、海外の既往研究や指針でも、

コンクリート工場排水は、pHが非常に高く(アルカリ性)、懸濁物質(セメント粒子等)が多いことが主要な問題であり、そのため排水の直接放流が禁止され、pH調整やSS除去が求められるとしています。

つまり、コンクリート製品製造業廃水の主な問題は強アルカリ性(高pH)、セメント・骨材由来の懸濁物質(SS)であり、重金属を「大量に」含むことが特徴とはされていません。

もちろん、セメント原料に微量の金属元素が含まれることはありますが、環境省の「有害物質使用特定施設からの排出水に含まれる有害物質」一覧では、セメント製品製造業の用に供する施設については、いくつかの有害物質(例:ふっ素、ほう素など)が挙げられている程度で、「重金属を大量に含む」といった位置づけではないことが読み取れます。

選択肢5→ 正しい

コークス製造業は、アンモニア、フェノール類、シアン等を含有する汚水を排出する。

製鉄所のコークス炉廃水について、環境関連技報ではコークス炉廃水は,アンモニアの他に,フェノールやシアン化合物等,毒性の高い成分を含むと明記されています。

記述どおり、アンモニア・フェノール類・シアン類を典型的に含む高汚濁・有害性の強い廃水であり、
正しい選択肢です。

問題を解くポイント

  1. 業種と汚水の「典型パターン」をセットで覚える
    • 食品・パルプ:高BOD・高COD(有機性)
    • 染色:着色・有機物・界面活性剤など
    • 皮革:高BOD+クロムなど
    • コークス:アンモニア・フェノール・シアン
    • コンクリート:高pH・高SS(←ここがポイント)
  2. 「大量に」「顕著に」といった強い表現に注意
    • コンクリート排水で重金属が「大量に」というのは違和感があるはず
    • こうした極端な表現を手がかりに、正誤を見抜きやすくなります。
  3. まず思い浮かべるべきキーワード
    • 食品・パルプ:BOD
    • 染色:
    • 皮革:クロム+有機
    • コークス:アンモニア+フェノール+シアン
    • コンクリート:高pH+SS(アルカリ)

この「業種 → キーワード」の対応をざっくり押さえておくと、同種の問題はかなりスピーディに解けるようになります。

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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