
公害防止管理者の過去問|令和5年 公害総論 問15 問題と解説

問題15
環境ラベルに関する記述として、誤っているものはどれか。
- 商品(製品やサービス)の環境に関する情報を、製品やパッケージ、広告などを通じて消費者に伝えるものである。
- 環境ラベルの表示は、法律で義務付けられたものではなく、企業の判断にゆだねられている。
- 3つのタイプの環境ラベルが、国際標準化機構(ISO)で規格化されている。
- タイプⅠ環境ラベルは、独立した第三者による認証を必要としない自己宣言による環境主張である。
- タイプⅢ環境ラベルでは、産業界又は独立した団体がISO14025に従って、事前に設定されたパラメーター領域について製品の環境データを表示する。
問題15の解答
正解は「4」です。
問題15の解説
◆選択肢1→正しい
商品(製品やサービス)の環境に関する情報を、製品やパッケージ、広告などを通じて消費者に伝えるものである。
●根拠:環境省「環境ラベル等データベース」
「環境ラベルは、製品の環境に関する情報を消費者や企業に伝える仕組み」
→ 環境ラベルの本質的役割を正しく述べている。
◆選択肢2→正しい
環境ラベルの表示は、法律で義務付けられたものではなく、企業の判断にゆだねられている。
●根拠:環境省「環境ラベルの概要」
「環境ラベルは基本的に自主的な取組であり、法的義務ではない。」
ただし「省エネラベル(統一省エネラベル)」など一部法令に基づく表示制度はあるが、ISO の環境ラベル(タイプⅠ〜Ⅲ)は義務ではない。この選択肢は正しい。
◆選択肢3→正しい
3つのタイプの環境ラベルが、国際標準化機構(ISO)で規格化されている。
●根拠
ISO による環境ラベルの3分類:
- タイプ I:ISO 14024(第三者認証型)
- タイプ II:ISO 14021(自己宣言型)
- タイプ III:ISO 14025(環境情報開示型)
→ 3タイプはISOで正式に規格化されているので正しい。
◆選択肢4→誤り
タイプⅠは 第三者認証型であり、自己宣言ではない。
●公式根拠:ISO 14024(環境ラベル及び宣言−タイプ I environmental labeling)
環境省「環境ラベルの種類」
「タイプⅠ環境ラベル:第三者機関が認証を行う環境ラベル制度」
一方、自己宣言はタイプⅡであり、 ISO 14021 に規定:タイプⅡ(ISO 14021)=自己宣言環境主張
→ よって本選択肢は タイプⅠとタイプⅡを混同しており誤り。
◆選択肢5→正しい
タイプⅢ環境ラベルでは、産業界又は独立した団体がISO14025に従って、事前に設定されたパラメーター領域について製品の環境データを表示する。
●根拠
「タイプⅢラベルは、製品のライフサイクルデータ(LCA)を事前に定めたパラメータに基づき定量的に示す制度。」さらに、EPD(環境製品宣言)は産業界団体や第三者機関が制度運営を担う。
→ 記述は正しい。
問題を解くポイント
◎ ポイント1:3つの環境ラベルをセットで覚える
タイプISO規格特徴ⅠISO14024第三者認証、エコマークなどⅡISO14021自己宣言、リサイクルマークなどⅢISO14025LCAベースの定量データ、EPDなど
◎ ポイント2:第三者認証=タイプⅠ、自己宣言=タイプⅡ
この違いを間違えると、今回のような問題で確実に落とされる。
◎ ポイント3:日本の代表例で覚える
タイプⅠ:エコマーク
タイプⅡ:プラスチック識別表示・再生紙マーク
タイプⅢ:建設材料のEPD
これらを結びつけて覚えると、暗記効率が高まる。
選択肢4が誤りであり、問題の正解である。
タイプⅠは第三者認証を必要とする環境ラベルであり、自己宣言ではないため。


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