公害防止管理者試験の過去問|公害総論:環境問題全般に関する問題④

公害防止管理者試験の過去問|公害総論:環境問題全般に関する問題④
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問題4

水質汚濁の現状に関する記述として、誤っているものはどれか(環境省:令和3年度公共用水域水質測定結果及び令和3年度地下水質測定結果(概況調査)による)。

  1. 海域においては、健康項目の環境基準を超過した地点はなかった。
  2. 河川においては、環境基準超過率が高い健康項目は、ひ素、ふっ素であった。
  3. 地下水においては、環境基準超過率が最も高い項目は、令和2年度までは硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素であったが、令和3年度はひ素になった。
  4. 地下水におけるひ素の汚染については、主に自然由来のひ素が原因とみられる。
  5. 地下水においては、ここ数年間、トリクロロエチレンの環境基準超過率は1%以上で推移している。

(令和6年)

問題4の解答

正解は「5」です。

問題4の解説

設問は、環境省の「令和3年度 公共用水域水質測定結果」と「令和3年度 地下水質測定結果(概況調査)」の事実を正確に読み取れるかを問うものです。各肢を検討します。

1.海域においては、健康項目の環境基準を超過した地点はなかった。正しい

令和3年度の健康項目(27項目)の海域の超過件数は表でいずれも0。たとえば、ひ素は「0/814」、ふっ素は「0/—」と超過がありません。

2.河川においては、環境基準超過率が高い健康項目は、ひ素、ふっ素であった。正しい

河川の超過件数は、ひ素が22/3,082件で最多、ついでふっ素が15/2,591件。他項目は0~3件程度で、ひ素・ふっ素の超過が相対的に目立ちます(同表2)。

3.地下水においては、…令和3年度はひ素になった。正しい

概況調査の項目別超過率は、令和3年度はひ素 2.4%が最も高く、次いで硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 2.0%。前年度(R2)は硝酸性窒素等が最も高かったので、R3に「首位」が砒素へ交代しています。

4.地下水におけるひ素の汚染については、主に自然由来のひ素が原因とみられる。おおむね正しい

令和3年度の実態把握調査の汚染原因の整理では、重金属等(砒素等)の原因に「自然的要因」を含むことが明記されています。ひ素汚染は地質起源(自然由来)による事例が多いことが政策資料でも示されています。

5.地下水においては、ここ数年間、トリクロロエチレンの環境基準超過率は1%以上で推移している。誤り(正解)

概況調査のトリクロロエチレン(TCE)の超過率は令和3年度で0.1%となっています。報告本文には、「近年は0.5%未満で推移」と明記されており、1%以上という記述は誤りです。覚えるしかないので、知識の有無が正解を導くポイントになるのが難しい点であると言えます。

問題を解くポイント

媒体×項目で整理

  • 海域の健康項目は超過なし
  • 河川ひ素>ふっ素が目立つ。
  • 地下水はR3でひ素の超過率が最多(2.4%)に。

TCEの数字は小さい

  • 近年0.5%未満、R3は0.1% → 「1%以上」は×。

ひ素の原因は“自然的要因”を含む

  • 重金属等の原因に自然的要因が明記。現場では地質(地層・鉱物)起源が多いと把握。
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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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