問題14
環境影響評価法に規定する目的に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。
この法律は、(1)土地の形状の変更、工作物の新設等の事業を行う事業者がその事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極めて重要であることにかんがみ、環境影響評価について(2)事業者等の責務を明らかにするとともに、(3)規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続その他所要の事項を定め、その手続等によって行われた(4)環境影響評価の結果をその事業に係る環境の保全のための措置その他のその事業の内容に関する決定に反映させるための措置をとること等により、その事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保し、もって(5)現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする。
(令和4年)
問題14の解答
正解は「2」です。
問題14の解説
設問は、環境影響評価法第1条〔目的〕に書かれている文言を、(1)〜(5)の下線部に対応させて正誤判定するものです。条文のポイントを実際の語句で照合すると、次のとおりです。
これは条文どおりです。アセス法は事業実施前に事業者が環境影響評価を行うことの重要性を出発点に据えています。→ 正しい。
条文は「環境影響評価について『国等』の責務を明らかにするとともに…」と規定しています。ここを「事業者等」と置き換えているため誤りです。「国等」には国・地方公共団体等が含まれ、事業者の責務は別途規定されますが、目的条文の箇所は国等が正解。
→ 誤り(正解肢)。
条文表現と一致します。アセスの対象(第一種・第二種)と手続の整備がここでうたわれています。
→ 正しい。
これも条文どおり。アセスは評価して終わりではなく、結果の反映(フィードバック)までが目的に含まれます。
→ 正しい。
結語も条文のままです。アセス制度の究極目的を示しています。
→ 正しい。
以上より、(2)のみが条文の語句と異なるため誤りです。
- 一語の置換に注意(典型的ひっかけ)
- 目的条文は「国等の責務」が正解。ここを「事業者等」に差し替える問題が定番です。まずは条文の主語を正確に押さえる。
- アセスの“骨格”をワンフレーズで
- 事前評価(あらかじめ)→ 手続整備 → 結果の反映 → 適正配慮の確保 → 国民の健康で文化的な生活に資する。
この流れで(1)〜(5)を対応づけると、整合性のチェックがしやすくなります。
- 事前評価(あらかじめ)→ 手続整備 → 結果の反映 → 適正配慮の確保 → 国民の健康で文化的な生活に資する。
- 「対象」「手続」「反映」をキーワード化
- (3)は対象事業の範囲と手続、(4)は結果の反映。この2点はアセスの実務的中核なので、条文の言い回し(「手続その他所要の事項」「反映させるための措置」)を見慣れておくと取り違えません。



コメント