公害防止管理者の過去問|令和4年 大規模水質特論 問6  問題と解説

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問題6

冷却水の再利用に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 冷却水は工業用水の全使用量に占める割合が高く、水使用の合理化において重視すべき用途である。
  2. 冷却水の利用には、高温の製品等に接触する直接冷却と、熱交換器による間接冷却があり、直接冷却では冷却水の再利用はできない。
  3. 冷却塔を用いる循環冷却水系では、水の一部を蒸発させて蒸発潜熱により水温を下げて再利用する。
  4. 冷却塔を用いる循環冷却水系では、塩類が濃縮することにより、配管における金属の腐食やスケールの析出が起こりやすい。
  5. 冷却塔を用いる循環冷却水系では、ブロー水、蒸発水、及びその他の種々の形態による水の損失を含む飛散水を合わせた量を、補給水として補う。

問題6の解答

正解は「2」です。

問題6の解説

この問題は、冷却水の再利用(循環利用)について、「仕組み」と「再利用できる条件」を正しく理解できているかを問う概念問題です。結論として②が誤りなのは、直接冷却であっても、条件次第では再利用(循環・回収)が“できない”とまでは言い切れないためです。

直接冷却は、製品やプロセス流体に水が接触するため、汚染や成分混入が起こりやすく、再利用が難しくなることが多いのは事実です。しかし、工業的には、回収・分離・処理を組み合わせて再利用される例もあり、②の「再利用はできない」という断定が不適切です。

解答に至るまでのステップ

ステップ1 冷却水の「用途」と「系の種類」を確認する

このステップでは、冷却水利用が大きく「直接冷却」と「間接冷却」に分かれること、そして再利用の議論はこの区別に強く依存することを確認します。

  • 間接冷却:熱交換器を介して冷却するため、冷却水はプロセス流体と直接混ざりにくく、循環利用に向きます。
  • 直接冷却:製品や高温物に接触するため、冷却水が汚れたり成分が溶け込んだりしやすく、再利用の設計が難しくなります。

ここで大事なのは、「難しい」と「できない」は違う、という点です。

ステップ2 ②が主張している内容を丁寧に読み解く

②は次のように言っています。

直接冷却では冷却水の再利用はできない。

直接冷却では、冷却水が油分、微粒子(SS)、製品成分などを含みやすく、再利用のためには分離・処理が必要になりやすいです。しかし、実際の水使用合理化では、直接冷却でも回収して沈殿・ろ過する、油分分離を行う、必要に応じて処理を加えて用途を落として使う(カスケード)といった形で再利用されるケースがあります。

したがって、②のように「再利用はできない」と一般化するのは不適切で、「再利用しにくい(制約が大きい)」が妥当な表現になります。これが②を誤りと判断する決め手です。

ステップ3 ③④⑤が冷却塔循環系の基本と整合していることを確認する

ここでは②以外が標準的説明であることを確認し、誤りが②であることを補強します。

  • 冷却塔は水を一部蒸発させ、蒸発潜熱で温度を下げる仕組みであり、循環冷却水系の基本です。
  • 蒸発により水だけが抜けるので塩類が濃縮し、腐食・スケールの原因になりやすい、というのも典型的です。
  • 定常状態では、蒸発水・飛散水(ドリフト等)・ブロー水などの損失分を補給水で補う、という水収支の説明として自然です。

問題のポイント

この問題で引っかかりやすいのは②の言い方です。直接冷却は、たしかに「水質が悪化しやすい」「再利用が難しくなりがち」という性質があります。しかし、それは技術的・経済的な制約が増えるという意味であり、原理的に再利用が不可能という意味ではありません。

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本記事の監修者

ISEED編集部は、環境技術、環境倫理、環境に関する資格について読者に有益な情報を調査・配信しています。記事制作においてリサーチ、構成、ライティング、編集、グロースハックの仕組みを適切に設計することで読者にわかりやすい文章を作ることを心がけています。

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